利用報告書
課題番号 :S-17-JI-0009
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :Siの正・逆光電子分光測定
Program Title (English) :Measurement of Si by IPES & PYS
利用者名(日本語) : 畔地 一昭
Username (English) :Kazuaki Azechi
所属名(日本語) :株式会社テックサイエンス
Affiliation (English) :Techscience Co., Ltd.
1.概要(Summary )
逆光電子分光法(IPES)および光電子収量分光法(PYS)を用いてSiのバンドギャップを直接観察測定から推定します。
2.実験(Experimental)
装置名:正逆光電子分光装置PYS-200-IPES
逆光電子分光法/IPESによりSiの電子非占有状態を、光電子収量分光法/PYSによりSiのイオン化ポテンシャルを求め、更にAgの両測定結果より求めた仕事関数およびフェルミレベルにより補正して伝導帯最下限値、価電子帯最上限値を決定します。Siはスパッタリングを実施し、表面を清浄化したものを使用します。装置は、正・逆光電子分光装(テックサイエンス PYS-200+IPES)を用いた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1にSiのPYSの測定結果、図2にSiのIPESの測定結果を示します。PYSの測定結果からイオン化ポテンシャルは4.5eVと見積もられます。IPESは取得データに対してAgのIPES測定より求めたフェルミ準位のエネルギー値6.775eV、およびAgのPYS測定より見積もられた仕事関数4.24eVを使用して横軸のエネルギー値を校正します。校正した後、立ち上がり位置を算出します。算出値は-2.575eVとなりました。
図1 Siの光電子収量分光の測定結果
図2 Siの逆光電子分光の測定結果
図3 Siのフェルミ準位からのエネルギーバンド
図3は両測定データをフェルミ準位を基準として同一ダイヤグラム上に描いたものです。0eVを基準に右がIPES、左がPYSのデータです。0eVがフェルミ準位0eVとなります。両データとも取得された生データです。このダイヤグラムより算出されたバンドギャップは1.69eVでした。通常Siのバンドギャップは光学バンドギャップから1.1~1.2eVですが、この値より大きな値となりました。これは、フェルミ準位の補正、IPESおよびPYSから算出するエネルギー値、IPESの検出器の分解能(0.8eV)が影響しているものと考えられます。
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし