利用報告書
課題番号 :S-17-NU-0032
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :X線小角散乱測定によるクレンジングオイルの相状態判定
Program Title (English) :Lyotropic phases in cleansing oils by small angel X-ray scattering
利用者名(日本語) :三譯秀樹
Username (English) :H. Miwake
所属名(日本語) :株式会社ファンケル
Affiliation (English) :FANCL Corporation
1.概要(Summary)
クレンジングオイルの成分は、リオトロピック液晶性を示す。本支援では、クレンジングオイルが示すリオトロピック液晶相の同定を小角X線散乱(SAXS)測定により試みた。その結果、数種類のクレンジングオイルサンプルにて小角領域の散乱が観察され、リオトロピック液晶性に起因する規則構造が観察された。
2.実験(Experimental)
数種のクレンジングオイルサンプルを直径1.5 mmのX線散乱測定用キャピラリー(マークチューブ)に詰め、試料とした。高輝度X線源(Rigaku FR-E)と二次元イメージングプレート検出器(Rigaku R-AXIS IV)を用い、SAXS測定を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Figure 1に、測定したクレンジングオイル試料の2次元散乱像と1次元プロファイルを一例として示す。 q = 0.47 nm-1に強い散乱が観察され、対応する面間隔(d)は、13.4 nmであった。また、高次の散乱は観察されなかった。通常の石鹸など界面活性剤のリオトロピック液晶が数nmの散乱を示すのに対し、クレンジングオイルはd = 10 nm以上の散乱構造を示すことがわかる。大きい散乱構造は、液体成分にて膨潤したライオトロピック液晶相に帰属することができ、オイル成分にて膨潤してもある程度の界面活性剤が規則構造を保っていることが確認できた。また、キャピラリーの壁面方向に対して垂直方向が強い、異方的な散乱を示している。これは自発的な液晶の配向が界面の効果により起こったものと判断でき、ラメラ相またはヘキサゴナル相のリオトロピック液晶相が壁面近傍では壁面に対して平行に配向しているものと判断できる。しかしながら、高次の散乱は観察されなかったため、本結果からの液晶構造の同定は難しい。
Figure 1. (a) A typical 2D SAXS image and (b) 1D profile for a cleansing oil sample. The double headed arrow indicates a longitudinal direction of the capillary sample.
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし