利用報告書
課題番号 :S-15-MS-1048
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :X線結晶構造解析による分子構造の決定
Program Title (English) :Determination of molecular structures with X-ray crystallography
利用者名(日本語) :藤澤 郁英1)
Username (English) :I. Fujisawa1)
所属名(日本語) :1) 豊橋技術科学大学 環境・生命工学系
Affiliation (English) :1) Department of Environmental and Life Sciences, Toyohashi University of Technology
1.概要(Summary)
分子科学において、正確な分子の三次元立体構造はその分子の反応を考えたり、性質を予測したりする上で非常に重要である。本研究では、種々の化合物の新規構造をX線結晶構造解析で決定することにより、各化合物の理解を深め、分子科学の分野に貢献することを目的としている。
2.実験(Experimental)
有機合成実験により得られた新規と思われる4種類の化合物の絶対構造までの構造決定の依頼を受けた。貴施設の単結晶X線回折装置(Rigaku社製 Mercury 光源:Mo) CCD-1とCCD-2を使用した。測定は8/24, 8/28, 9/18, 11/19, 12/7, 12/22, 1/21, 22に行った。また、CrystalClearを用いた処理を再度行う必要があったため、2/2, 2/12にデータの再処理を行った。必要に応じて、室温またはcryo条件で測定を行った。高分解能のデータが得られない場合は、大学で再結晶化などを行い、結晶性の高い結晶を作成し、再度測定を行うなどしたため、4種類すべてにおいて高分解能の回折データが得られ、絶対構造までの構造決定を行うことができた。貴施設ではデータ処理までを行い、大学で構造解析を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
4種類の化合物について、高分解能の回折データを測定でき、構造解析により絶対構造までの構造決定を行うことができた。4種類の化合物のうち、1種類は既報のものと同じ結晶構造であることが判明した。他の3種類は新規構造であった。低分子結晶で溶媒を含まない場合、通常はcryo条件で測定した方が良いデータが得られるが、今回の結晶のうち1種類はcryo条件では回折点が筋状になってしまい、室温ではきれいな回折点が得られた。絶対構造まで精度よく決定するためには、フリーデルペアを含めたcompletenessを向上させる必要があるため、測定範囲が2倍以上になり、測定時間が長くなり、データ量も増えたため処理にも時間がかかった。また、どうしてもブラインド領域ができるため、結晶の取り付け角度や測定プログラムを工夫した。
4.その他・特記事項(Others)
貴施設の単結晶X線回折装置の利用時には分子科学研究所機器センターの藤原先生と岡野先生には大変お世話になりました。ありがとうございました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(前年度までに測定し構造決定を行った結果が論文の一部になった)
K. Shibatomi, M. Kotozaki, N. Sasaki, I. Fujisawa, and S. Iwasa, Chem. Eur. J., Vol. 21(40) (2015) p.p. 14095-14098.
6.関連特許(Patent)
なし。







