利用報告書

セメント水和物の分析
丸山一平1), 栗原諒1)
1) 名古屋大学大学院環境学研究科

課題番号 :S-16-NU-0021
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :セメント水和物の分析
Program Title (English) :Analysis on cement hydrates
利用者名(日本語) :丸山一平1), 栗原諒1)
Username (English) :I. Maruyama1), R. Kurihara1)
所属名(日本語) :1) 名古屋大学大学院環境学研究科
Affiliation (English) :1) Nagoya University

1.概要(Summary )
主要なセメント水和物であるカルシウムシリケート水和物はコロイド的性質を有しており、その物性評価が困難である。本研究では、異なる乾燥履歴を受けたセメントペーストについて、カルシウムシリケート水和物を含む各種水和物の形態観察を、FE-SEMによる二次電子像を用いて行った。

2.実験(Experimental)
ホワイトポルトランドセメントを水セメント比0.55で練り混ぜ、約4年間水中養生した後に10ヶ月間、大気に曝露させた環境で乾燥を行った。乾燥を行った試験体の破断面について、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM-7500F)を用いて二次電子像による観察を行った。本検討では、大気中の二酸化炭素との反応(炭酸化)でセメントペースト中に生成する炭酸カルシウムに着目した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
炭酸化に関わるセメント水和物からのカルシウムの供給源として、水酸化カルシウムとカルシウムシリケート水和物が挙げられる。両者の周辺では、カルサイト・アラゴナイト・バテライトといった結晶構造の異なる炭酸カルシウムが析出する。
FE-SEMによる形態観察から図1(a)~(c)に見られるように、水酸化カルシウム近傍、カルシウムシリケート水和物近傍などから3種の特徴的な炭酸カルシウム結晶を確認した。特に、図1(c)に見られる炭酸カルシウムは、微結晶が凝集した形態をしており、カルシウムシリケート水和物の構造中の空隙を充填するように析出していることが確認された。

図1 セメントペースト中の炭酸カルシウムの形態
(a)水酸化カルシウム近傍に析出 (b)空隙で析出・成長
(c)カルシウムシリケート水和物近傍に析出

4.その他・特記事項(Others)
本研究では、特に、林 育生氏の助力を得た。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
投稿中で既発表論文はない。今後、論文・口頭発表を予定している。

6.関連特許(Patent)
なし

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