利用報告書
課題番号 :S-19-NI-0019
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :単層グラフェンの作製・転写
Program Title (English) :Production and transfer of graphene
利用者名(日本語) :柳谷隆彦1)
Username (English) :T. Yanagitani1)
所属名(日本語) :1) 早稲田大学先進理工学部電気・情報生命工学科
Affiliation (English) :1) Waseda University.
1.概要(Summary )
スマートフォンなどの移動体通信機器には数多くの周波数フィルタが用いられている。高速・低遅延通信を目的とする第5世代移動通信システム(5G)の実現のために、周波数フィルタの高周波帯域への対応が求められている。現在周波数フィルタとして多く用いられているSurface Acoustic Wave(SAW)フィルタでは、高周波帯域への対応のために櫛型電極の微細化が必要であり、電極作製の難易度などから5G通信での利用は困難を伴う。一方で、Film Bulk Acoustic Resonator(FBAR)フィルタは圧電薄膜の厚さを変えることで共振周波数の変化が行えることから高周波帯域への対応が容易である。そのため、今後利用が進められていく5Gの周波数帯域での周波数フィルタとして、FBARフィルタが有用であると考えられる。現在実用化されているFBARフィルタは多結晶薄膜が使用されており、単結晶薄膜のFBARフィルタが作製できればフィルタの急峻性(Q値)の向上が期待される。
そこで、非鉛圧電材料として近年注目されているScAlNをグラフェン上に単結晶成長させることでのQ値向上を目指す。
2.実験(Experimental)
グラフェン合成装置を利用して成膜した単相グラフェンを下地として、ScAlN薄膜をRFマグネトロンスパッタにて成膜した[1]。
3.結果と考察(Results and Discussion)
X線回折装置(X’ Pert PRO, PANalytical)を用いてグラフェン上に作製したScAlN薄膜の結晶配向性を評価した結果を図1に示す。
図1 グラフェン上ScAlN薄膜の (1 011)面極点図
今回の実験ではa軸方向が揃わず成長している。今後の課題としてスパッタ装置の大型化を行い、スパッタ成膜条件の最適化を行っていく。
4.その他・特記事項(Others)
参考文献
[1] S. Sharma, G. Kalita, R. Hirano, S. M.Shinde, R. Papon, H. Ohtani and M. Tanemura, “Synthesis of graphene crystals from solid waste plastic by chemical vapor deposition,” Carbon vol. 72, pp. 66-73, (2014).
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし