課題番号 ：S-16-NU-0047
利用形態 ：機器利用
利用課題名（日本語） ：安定な有機ラジカルの蓄電および光電変換材料への応用
Program Title (English) ：Application of Air-stable Organic Radical to Secondary Batteries and Photoelectric Conversion Materials
利用者名（日本語） ：慶島美和, 西山淳也, 村田剛志, 森田 靖
Username (English) ：M. Keishima, J. Nishiyama, T. Murata, Y. Morita
所属名（日本語） ：愛知工業大学 工学部 応用化学科
Affiliation (English) ：Department of Applied Chemistry, Faculty of Engineering, Aichi Institute of Technology

１．概要（Summary ）
我々は有機ラジカル化合物であるトリオキソトリアンギュレン（TOT）を正極活物質とするリチウムイオン二次電池の開発に取り組んでいる。これまでシート法による電極作製において、活物質にTOT、導電助剤にアセチレンブラック（AB）、バインダーにポリフッ化ビニリデン（PVDF）を用いて検討を行なってきた。今回さらなる高性能化に向けて導電助剤に着目し、ABにCNTを混合した導電助剤を用いて正極シートを作製した。従来の正極シートと表面形態の違いを確認するため電子顕微鏡観察を行った。

２．実験（Experimental）
【利用した主な装置】
走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM-7500F)
【実験方法】
試料を適切なサイズにカットし走査電子顕微鏡付属の試料台にカーボンテープを使用して接着し、室温・真空下において観察を行なった。有機物が中心のサンプルとなるため、加速電圧は2Vにして実施した。

３．結果と考察（Results and Discussion）
TOT/AB正極シート（Fig.1）およびTOT/AB/CNT正極シート(Fig.2)の断面SEM画像を示す。電子顕微鏡観察の結果、AB/TOT正極シートは活物質（TOT）と導電助剤（AB）間の接触が不十分な部分が観察される一方、TOT/AB/CNT正極シートでは、帯状のCNTが活物質に広く接している様子が観察された。このことから、CNTを添加した電極は従来の電極よりも、幅広い導電パスを形成しているものと考えられる。

　　　　　　Fig.1) TOT/AB正極シート

　　　　　Fig.2) TOT/AB/CNT正極シート
４．その他・特記事項（Others）
科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業CREST「元素戦略を基軸とする物質・材料の革新的機能の創出」研究課題「安定な有機ラジカルの蓄電および光電変換材料への応用」（研究代表者：愛知工業大学 森田 靖 平成24年10月1日〜平成30年3月31日）からの支援を受けて実施されました。ここに感謝の意を表します。

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
(1)Molecular Spin Battery Composed of Air-stable Neutral Radicals
Morita, Y.; Nishiyama, J.; Nobukuni, H.; Murata, T.; Keishima, M.; Fujisaki, M.; Tsuji, R.
Taiwan-Japan Symposium on Chemistry Directed Towards Future Energy Conversion and Storage
2017年2月24日、九州大学筑紫キャンパス、招待講演