利用報告書
課題番号 :S-15-KU-0024
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :固体界面における高分子鎖の凝集状態の評価
Program Title (English) :Characterization of aggregation states of polymer chains at the solid interface
利用者名(日本語) :杉本 晋1)、 犬束 学2)、 田中敬二1)、2) (指導教授)
Username (English) :S. Sugimoto1), M. Inutsuka2), K. Tanaka1),2)
所属名(日本語) :1) 九州大学大学院統合新領域学府オートモーティブサイエンス専攻
2) 九州大学大学院工学研究院応用化学部門 (機能)
Affiliation (English) :1) Department of Automotive Science, Kyushu University
2) Department of Applied Chemistry, Kyushu University
1.概要(Summary)
ゴム材料は自動車用部品を始めとして様々な場面で用いられており、その多くは力学強度の補強のために無機フィラーを添加したコンポジット材料として利用されている。多くの界面を材料内部に有するゴム・フィラーコンポジットの機能特性は界面におけるゴム状高分子の構造・物性に影響を受けると予想される。一般に、固体界面近傍において高分子鎖の熱運動は著しく抑制されており、界面凝集構造は熱的に緩和されないことが明らかとなっている。しかしながら、その多くはガラス状高分子についての知見であり、実用上重要であるゴム状高分子についての報告例は非常に少ない。そこで、本研究では固体界面におけるゴム状高分子の凝集状態を「表面・界面分子振動解析装置」を用いて評価した。
2.実験(Experimental)
試料として、数平均分子量が91kのポリイソプレン(PI)を用いた。PI膜を石英プリズム上にトルエン溶液から溶媒キャスト法およびスピンコート法に基づき調製し、石英基板で挟み込むことで(PI/石英)界面のみを有する試料を調製した。調製した膜は室温で24時間真空乾燥を施した。石英界面におけるPIの局所コンフォメーションを「表面・界面分子振動解析装置」を用いて評価した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1は溶媒キャスト法およびスピンコート法に基づき調製したPI膜の和周波発生(SFG)スペクトルである。石英界面における溶媒キャスト膜のSFGスペクトルの形状はスピンコート膜のそれとは大きく異なった。典型的なガラス状高分子であるポリスチレンの場合、界面凝集構造が製膜法に依存し、熱的には緩和されないことが明らかとなっている。本研究の結果は室温で熱運動性の大きいゴム状態の高分子であっても、基板界面においては製膜履歴が緩和しないことを示しており、基板界面における分子鎖の熱運動抑制効果が極めて強いことが示唆された。
図1. 石英界面におけるPI溶媒キャスト膜およびスピンコート膜のSFG スペクトル
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 固体界面におけるポリイソプレンの凝集構造と分子鎖熱運動特性、第27回エラストマー討論会、口頭発表、福岡、平成27年12月3日
他3件
6.関連特許(Patent)
なし。







