課題番号 ：S-15-NU-0018
利用形態 ：共同研究
利用課題名（日本語） ：新規らせん高分子の合成と応用
Program Title (English) ：Synthesis and application of novel helical polymers
利用者名（日本語） ：前田勝浩
Username (English) ：K. Maeda
所属名（日本語） ：金沢大学大学院自然科学研究科
Affiliation (English) ：Graduate School of Natural Science and Technology, Kanazawa University

１．概要（Summary ）
前年度に引き続き、側鎖に2,2’-ビフェノール由来の置換基を有する光学不活性なポリ（ビフェニルイルアセチレン）誘導体を合成し、溶液中および固体状態における一方向巻きらせん構造の制御に関する研究を行った。本年度は、側鎖に光学活性基を導入したポリ（ジフェニルアセチレン）誘導体のコンホメーション解析に関する研究も行った。

２．実験（Experimental）
光学活性アルコールとの非共有結合相互作用を介して主鎖に一方向巻きらせん構造を誘起したポリ（ビフェニルイルアセチレン）誘導体のらせん構造を原子間力顕微鏡 (AFM, 利用装置番号 29) により直接観察することを試みた。また、光学活性基を側鎖に導入したポリ（ジフェニルアセチレン）のコンホメーションに関する情報を得るために、振動円二色性(VCD、利用装置番号 21)スペクトルを測定した。

３．結果と考察 （Results and Discussion）
ポリ（ビフェニルイルアセチレン）の希薄溶液をマイカおよびグラファイト基板上にキャストし、溶媒アニーリング後にAFMによりポリマーのらせん構造の直接観察を行った。その結果、２次元結晶の形成が確認され、ポリマー鎖が配列している像が観察された。一方、ポリ（ジフェニルアセチレン）誘導体について、らせん誘起・記憶したポリマーに光学活性基を導入したポリマーと、光学活性基を導入後にらせん誘起したポリマーが、著しく異なる光学分割能を示すことが以前の研究で明らかになっていた。そこで、各ポリマーのVCD測定を行ったところ、側鎖のフェニル基由来のVCD吸収に明確な違いが観測され、これらのポリマーの側鎖フェニル基の配向の仕方が大きく異なっている可能性が高いことが明らかになった。

４．その他・特記事項（Others）
なし。

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）　
(1) R. Ishidate, K. Shimomura, T. Ikai, S. Kanoh, and K. Maeda, Chem. Lett. Vol. 44 (2015) p.p. 946-948.
(2) R. Ishidate, T. Sato, K. Shimomura, T. Ikai, K. Maeda, S. Kanoh, and E. Yashima, International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (PACIFICHEM), December 15-20, 2015.
(3) K. Maeda, K. Shimomura, T. Ikai, S. Kanoh, and E. Yashima, International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (PACIFICHEM), December 15-20, 2015.
(4) 石立涼馬，佐藤公，下村昂平，井改知幸，前田勝浩，加納重義，八島栄次，第64回高分子学会北陸支部研究発表会，2015年11月14日-15日.
(5) 上松弘斉，前田勝浩，井改知幸，加納重義，第64回高分子討論会，2015年9月15日-17日．
(6) 井改知幸，石立涼馬，前田勝浩，加納重義，八島栄次，第64回高分子討論会，2015年9月15日-17日．
(7) R. Ishidate, T. Sato, K. Shimomura, T. Ikai, K. Maeda, S. Kanoh, and E. Yashima, 27th International Symposium on Chiral Discrimination (ISCD 27), June 28-July 1, 2015.
(8) 石立涼馬，佐藤公，下村昂平，井改知幸，前田勝浩，加納重義，八島栄次，第64回高分子学会年次大会、2015年5月27日-29日.

６．関連特許（Patent）
(1) 前田 勝浩、井改 知幸、下村 昂平, “不斉選択性の切り替えが可能なクロマトグラフィー用充填剤”, 特許第５７５７６０２号, 平成２７年６月２日登録