課題番号 ：S-15-KU-0026
利用形態 ：技術代行
利用課題名（日本語） ：金属ナノ粒子の表面修飾とバイオ機能化
Program Title (English) ：Surface Modification and Bio-functionalization of Metal Nanoparticles
利用者名（日本語） ：新留　康郎
Username (English) ：Y. Niidome
所属名（日本語） ：鹿児島大学大学院理工学研究科
Affiliation (English) ：Graduate School of Science and Engineering、Kagoshima University

１．概要（Summary ）
金ナノロッドはカチオン性界面活性剤Hexadecyltrimethylammonium Bromide(CTAB) 溶液中で調製される。その表面にはCTA+カチオンが吸着している。本研究では、金ナノロッドと同じ表面状態を有する球状金ナノ粒子を調製し、質量分析用のマーカー粒子として用いた。本研究ではCTABに加えて、ChlorideをカウンターカチオンとするCTACを用いて、カチオン性界面活性剤溶液中でのナノ粒子の生成プロセスを明らかにした。さらに金ナノロッドとのイオン化との比較を行った。

２．実験（Experimental）
CTABとCTAC中の多段のシーディング法で金ナノ粒子を調製し、粒径分布を大塚電子ELSZ-2動的光散乱(DLS)装置によって見積もった。金ナノロッド溶液と球状粒子溶液は遠心分離で界面活性剤濃度を減らした後、Poly(stylenesulfonate) (PSS)で表面修飾し、ブロッティングメンブレン(Amersham Hybond-P)に濃度を変えてキャストした。金ナノ粒子固定メンブレンはITO基板に固定し、MALDI-MS装置 (Autoflex, Bruker)でTime-of-flight mass測定によるイメージング質量分析を行った。

３．結果と考察（Results and Discussion）
図に金ナノロッドを用いた場合のイメージング質量分析の画像表示とシグナル強度の分布図を示す。左から右に金濃度が高い。画像は金ナノロッドを滴下した円形の中心部分から得られるAu+のシグナル強度をマッピングしたものである。この濃度条件ではシグナル強度が逆転することはなかった。金ナノロッドは量が多い部分から強い金イオンシグナルが得られるマスプローブとして機能することが明らかになった。球状粒子も同様の傾向を示したが、粒径の小さい粒子は金イオンの脱離効率は低かった。

金イオンのイメージング質量分析　m/z = 197 (Au+)

４．その他・特記事項（Others）
なし

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
(1) Assemblies of Gold Nanorods for Efficient SALDI Mass Spectrometry, Masanori Fujii, Naotoshi Nakashima, Yasuro Niidome
Optical Materials Express, 2016, Vol. 6, No. 4, pp. 1376-1383. （平成２８年３月）
(2) Imaging Mass Spectrometry of Gold Nanorods Distributed in Tumor Tissues
Takuro Niidome, Masanori Fujii, Naotoshi Nakashima, Yoshiki Katayama, Yasuro Niidome
Chemistry Letters, 2015, Vol. 44, No. 7, pp. 931-933. (平成２７年７月)

６．関連特許（Patent）
なし