利用者インタビュー

―初めに、今日はなぜガラス工房で取材なのでしょうか?!

株式会社深川硝子工芸(以下 深川硝子)と室蘭工業大学(以下 室工大)が共同研究を行っており、色々ガラスの写真があった方がいいかなとおもいましたので、こちらにしました。(インスタ映えを考慮してくださいました!)
まだ深川硝子との共同研究のテーマではまだナノプラは利用していませんが、今回はこれまでの利用の話だけではなく、これから始めようと思っている研究についてもご紹介したいと思います。

―現在の先生のご研究について教えて下さい

私は元々鉱山系の出身ですが、現在は様々なデバイスや触媒の材料となるような新規金属・半導体ナノ粒子の創成がメインテーマです。
半導体ナノ粒子に光触媒特性がある事に注目し、前駆体である硫化銅(Cu2S)やカルコパイライトナノ粒子をコロイド法で合成し、その光学特性を名古屋工業大学(以下 名工大)のUV/VIS/NIR分光光度計を用いて測定しています。また、合成そのものも名工大にて試行錯誤しながら検討しています。
※濱中先生は葛谷先生との共同研究テーマについて、分子研で機器利用していただいています。

―葛谷先生はこれまで長くナノテクノロジープラットフォームを利用してくださいましたが、利用のきっかけを教えてください。

私は元々名工大で博士研究員をしており、現共同研究先の濱中先生と旧知の仲です。
室蘭工業大学はご存じのとおり地方大ですし、設備や機器が揃っていません。そんな中でも研究を進めるためには、他の大学へ機器を使用させてもらったり、他の研究者との共同研究を行う事は命綱のようなものです。

―さて、そこで今回の深川硝子工芸さんとのお話しに移りたいと思いますが、なぜ硝子会社さんと共同研究なんでしょうか?

キッカケは私の上司の平井伸治教授(室蘭工業大工学部教授)からの紹介でした。北海道の産業と科学技術の融合を進めていこうという大学の背策もあります。
小樽の中でもここ深川硝子さんが共同研究を引き受けて下さいました。

硝子の色はどのようにつけているか知っていますか?

―インクのようなものを混ぜて発色させてるんでしょうか・・?

実は、この赤色は金ナノ粒子で発色しています。(金赤という名前で製品にも表示されています)。この黄緑やオレンジもそれぞれ金属によって発色しています。ネオジウムやホルミウムという希土類なのです。

―金属ナノ粒子を利用して発色させる技術というのは新しい技術なのでしょうか?

昔から使われていた技術なのですが、職人さんの経験値や感覚で作ってきたものです。
なので、なかなか同じ色が出せなかったり、なぜこの色になるのか、というのはこれまでわかっていませんでした。
そこで、先端機器を利用することで、どのようなナノ粒子が存在するのか、またその条件について詳しく調べる事が出来ると考えています。
実際には透過型電子顕微鏡(TEM)などを利用してナノ粒子の存在は確認しています。

深川硝子工芸創立100年の中で、初めての大学との共同研究

(深川)我々深川硝子は元々東京都にありましたが、15年前に小樽に移転し、減債は単独炉を複数持っています。単独炉がある事で、様々な種類のガラスを作る事ができます。日本では数少なくなりましたが、手作業で大量生産をしています。(1日1000~2000個)

―ナノテクノロジーへの期待と可能性について教えて下さい。

我々も創業依頼初めて大学との共同研究契約を結びました。まだまだどのように進んでいくのか手探りですが、科学技術を利用した「美しい」ガラスを製造する事ができれば、新しい小樽ガラスの魅力になるのではないでしょうか。
また生産工程が安定するなど、実生産の場面においてもデータが集まればよいと考えています。

―共同研究が始まって、何か変わりましたか?

葛谷先生は社員(皆さん、とてもお若いです。)とも気軽に話をしてくださいます。先生からの科学技術の話は、現場で作業する若手にとってもとても良い刺激になりますし、自分たちが行っている作業が科学的にどう解釈できるのか、という話は勉強になります。

―最後にこれから始まる共同研究について意気込みとナノテクノロジープラットフォームへの希望を教えて下さい。

我々には北海道の観光産業の活性化というミッションがあります。
残念ながら北海道命名150年には間に合いませんでしたが、小樽ガラスを元気にするためにも、何かナノテクノロジーの力を活用して新しいものづくりを進めていきたいと思います。そのためには、現在のように足りない装置や共同研究をどんどん進められる環境は非常に大切です。
我々地方大や地方の企業のためにも、継続して支援を提供してもらいたいと思います。

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