東北大学

2014年度 成果事例

コラーゲンを原料とした環状ジペプチドの合成
aゼライス株式会社, b東北大学大学院理学研究科巨大分子解析研究センター, c東北大学原子分子材料科学高等研究機構
早坂 文孝a,山本 祥子a,吉田慎一朗b, 權 垠相b, 浅尾直樹c

【目  的】
環状ジペプチドは、抗腫瘍活性や抗菌活性など、多様な生理活性を有することが知られている。その中で、 Cycloglycylprolineは抗健忘症効果や神経保護作用などの報告があり、医薬品・健康食品への応用が期待される。コラーゲンはGlycine-Proline配列を多く含むことから、Cycloglycylprolineの原料として期待できる。
本研究では、コラーゲンから得られたCycloglycylprolineの構造解析について検討した。

【成  果】
各種NMRの測定は超高感度JNM-ECA800分光計を用いて行った(図1)。質量分析は、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(磁場強度:9.4テスラ、イオン化法:ESI)を用いて行った。
図2にコラーゲンを酵素で分解して得られた生成物の1Hと13C NMRスペクトルを示す。その結果、高対称の環状ペプチドが生成していることが分かった。また、生成物の精密質量測定から、その組成式はC7H10N2O2であることが分かった。これらの結果から、本製法によって得られた生成物はCycloglycylprolineであることが示唆された。最終的な同定は各種スペクトルを標準品と比較することにより行った。今後、本検討で得られた環状ジペプチドの生体反応について、in vitro、in vivoでの評価を行う。
1) http://www.tripeptide.net/

TU_1_Fig1

図1. 800 MHz強磁場核磁気共鳴装置.

TU_1_Fig2
図2. コラーゲン分解物の1H (上)と13C(下)NMRスペクトル.

TU_1_Fig3
図3. コラーゲン分解物の質量スペクトル.

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