名古屋大学
2013年度 成果事例
セルロースナノファイバー(CeNF)充填導電性高分子複合材料の導電性
【研究目的】 導電性高分子は透明導電性材料としての応用が期待されているが、そのためには加工性および導電性を改良する必要がある。 本研究では、極細化されたセルロースナノファイバー(CeNF)と導電性高分子ポリアニリンスルホン酸(PAS)との複合化により、加工性と導電性に優れた導電性高分子複合材料の開発を目指した。
【成 果】 超音波処理またはTEMPO酸化法により得た極細化CeNFとPASとの複合材料が優れた導電性を示すことを明らかにした。 異なる径のCeNFから成るCeNF充填PAS複合材料における、CeNF充填量(PAS基準)と、体積抵抗率との関係を図1に示した。充填CeNF径が小さいほど、 CeNF充填PAS複合材料は低い体積抵抗率を示した。 水中でのCeNFのゼータ電位測定では、図2のごとく、PASの添加に伴いゼータ電位はより負の値に変化し、CeNFへのPAS吸着が示唆された。 水中におけるCeNFへのPAS吸着量を測定したところ、図3の結果が得られた。CeNF径が小さいほど、単位重さあたりのPASの吸着量が増える傾向が観察された。 以上の結果より、PAS/CeNF導電性高分子複合材料において、極細化CeNFが導電性の向上に寄与し、更にCeNFによる導電性向上は、CeNFへのPAS吸着に起因することが明らかになった。 本成果は、PPS29(ドイツ)ならびにSAMPE JAPAN 2013(名古屋)、成形加工シンポジア’13(倉敷)にて発表された。