分子科学研究所

2013年度 成果事例

内包フラーレン分子錯体の特徴的分子磁性のESR測定
1 Institute for Chemical Research, Kyoto University.2 Life Science Center of Tsukuba Advanced Research Alliance, University of Tsukuba. 3 Institute for Molecular Science. 4 Institute for the Promotion of Excellence in Higher Education, Kyoto University. 5 Fukui Institute for Fundamental Chemistry, Kyoto University. 6 JST, PRESTO.
Yuta Morinaka1, Satoru Sato2, Atsushi Wakamiya1, Hidefumi Nikawa2, Naomi Mizorogi2, Fumiyuki Tanabe1, Michihisa Murata1, Koichi Komatsu1, Ko Furukawa3, Tatsuhisa Kato4, Shigeru Nagase5, Takeshi Akasaka2, Yasujiro Murata1,6

【研究目的】 C60ケージ分子の開包合成法で得たヘリウム内包C60(He@C60)をX-線回折測定してHe原子像を得たうえで,窒素プラズマ法による更なる窒素原子注入を電子スピン共鳴(ESR)測定で確認することを目的とした。

 

 

【成   果】 X-線回折による鮮明なHe原子像を世界で初めて撮影することに成功した.(図2.参照)この鮮明なHeの原子像は,開包合成法でケージ状分子C60にHe原子を内包(He@C60)することで始めて得られた.C60に窒素プラズマを照射すると窒素原子がケージ内に侵入することが知られているので,同じ手法をHe@C60に対して行い,得られた試料溶液を施設利用機器ESR装置で測定しHeに加えて窒素原子も安定に注入されたことを確かめた.(図1.参照)この結果は理論計算からも支持された. (図3.参照) 以上の成果は,国際的 Web Journal(NATURE COMMUNICATIONS | DOI: 10.1038/ncomms2574 |www.nature.com/naturecommunications)に掲載された.

H25_MS_1035_fig1

図1. He@C70とHe@C60に窒素プラズマを照射して得られた試料のESRスペクトル

 

H25_MS_1035_fig2

図2. ニッケルポルフィリンに挟まれて結晶化したHe@C60のX-線回折像

 

H25_MS_1035_fig3

図3. NHe@C60分子の理論計算で得られた最安定構造

 

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