名古屋大学

2013年度 成果事例

微細流路中に合成したナノワイヤ構造体を用いた DNA解析
a大阪大学産業科学研究所, b名古屋大学
柳田剛a,Sakon Rahonga,川合知二a,安井隆雄b,加地範匡b,馬場嘉信b

【研究目的】 長鎖DNA分子をゲーティングナノポア検出部へと導入する分子挙動制御技術は次々世代シーケンサーの実現に向けた重要な課題でした。微細流路中でランダムコイル形状のDNA分子を伸長しその挙動を制御するためにはDNA分子と同程度サイズのナノ構造が要求され、既存のプロセス技術では作製するのが非常に困難でした。本研究では、微細流路中の狙った空間位置に自己組織化ナノワイヤ構造体を配置する技術を確立し、その新規ナノ構造体を用いて長鎖DNA分子の挙動を1分子レベルで制御する試みを行いました。

【成   果】 本研究では、ガラス基板上に微細流路を作製した後に気液固反応法を用いて酸化錫ナノワイヤを合成することで、世界で初めて、微細流路中にナノワイヤ構造体を作製することに成功しました。次に、この微細流路中のナノワイヤ構造体中に長鎖DNAを電気泳動させる事によって、1分子レベルで長鎖DNAを伸長させることに成功しました。加えて、詳細な1分子観察から長鎖DNAがナノワイヤ構造体とW型という従来のナノ構造では極めて珍しい接触状態を示すことが明らかになりました。本成果は、アメリカ化学会 ACS Nano, 2013, 7, 3029として出版されました。

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図1. 微細流路中に作製されたナノワイヤ構造体の模式図・SEM画像・TEM画像(左)とナノワイヤ構造体によりランダムコイル形状から伸長された長鎖DNAの1分子観察結果(右)

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