利用報告書

カチオン性のカーボンドットの合成およびDNA色素の応用
ジンチェンコ アナトーリ
名古屋大学 大学院環境学研究科

課題番号 :S-17-NU-0027
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :カチオン性のカーボンドットの合成およびDNA色素の応用
Program Title (English) :Synthesis of cationic carbon dots and their application for DNA labeling
利用者名(日本語) :ジンチェンコ アナトーリ
Username (English) :Anatoly Zinchenko
所属名(日本語) :名古屋大学 大学院環境学研究科
Affiliation (English) :Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University

1.概要(Summary )
カーボン量子ドット(Carbon Qdot = CQD)は、安価な原料からマイクロ波合成法や熱分解合成法により作製できる。CQDの原料は安価であるため、従来の蛍光材料と比べて、蛍光材料のコストを大幅に低下できる。本研究では、CQDを利用した単一分子DNAの可視化を目的として、カチオン性のCQDの合成および粒径・電荷の測定を行った。

2.実験(Experimental)
(1) カーボン量子ドットの合成
[1]を参考して、CQDの合成を行った。50 mL ビーカーに入れた 5 mL 0.1 M HCl 溶液に0.25 gアスコルビン酸と0.5 g ポリエチレンイミン(Mw 約25,000)を溶かし、電子レンジ(YAMAZEN MW-Y205、700 W)で2.5分間加熱して、自然に冷却させた。ビーカーに5 mL 0.1 M HCl 溶液を加え、超音波破砕機(TAITEC 社製 VP-5S)で約30分間処理した。上澄み液を15,000 rpm で 15 分間遠心分離(KUBOTA 2010)して精製した。
(2)カーボン量子ドットの粒径と電荷の測定
(1)で合成したCQDの粒径およびゼータ電位は、粒径・ゼータ電位測定装置(ELSZ-2、大塚電子)を用いて常温で測定した。
(3)DNAの可視化
CQDで染色処理したT4 DNA の挙動を蛍光顕微鏡(ECLIPSE TE 2000、ニコン)のモノクロ動画でリアルタイムに観察行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
DNAは負電荷高分子電解質であるため、一般にDNAの色素がカチオン性の蛍光材料を用いられる。そこで、DNAをCQDで標識するため、陽電荷のCQDしか使用できない。本研究では、カチオン性CQDを合成するため、大量のカチオン性官能基(アミノ基)をもつポリエチレンイミンを用いて、CQDの合成を行った(図1A)。アスコルビン酸とポリエチレンイミンの混合溶液を電子レンジで加熱すると、カーボン量子ドットが形成され、CQDの強い蛍光発光性を確認できる(図1B)。合成したカーボン量子ドットの溶液を粒径・ゼータ電位測定装置で測定行い、カーボン量子ドットの直径は約130 nm、ゼータ電位は+31.0 mVと測定した。

図1 カーボン量子ドットの合成反応式(A)=300 nm紫外線照射によるCQD分散液蛍光の写真(B)電子顕微鏡画像(C)と電気移動度(104)の分布(D)

CQDのカチオン性が確認できたため、次に、CQDで長鎖T4 DNA(約60 μm)を標識して、蛍光顕微鏡観察を行った。CQD染色した DNA単一分子のBrownian運動を可視化できることを明らかにした。

4.その他・特記事項(Others)  なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)  なし
6.関連特許(Patent)  なし

©2019 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.