利用報告書

新規消臭剤開発における成分分析
増田 健治
株式会社服部塗料工業所

課題番号 :S-17-NU-0057
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :新規消臭剤開発における成分分析
Program Title (English) :Chemical Analysis for Development of New Deodorants
利用者名(日本語) :増田 健治
Username (English) :K. Masuda
所属名(日本語) :株式会社服部塗料工業所
Affiliation (English) :Hottori Toryo

1.概要(Summary )
 新規消臭剤の開発を検討している。少量成分の水溶液、分散液の成分評価をまず検討し、次ステップとして有効成分の見極め、使用量の最適化を予定している。今回はまず、比較的成分濃度が高いものと、低いものでNMRによる分析手法がどの程度利用していけるかを検討することにした。

2.実験(Experimental)
有効成分が比較的多く含有されている試料①と成分濃度が低い試料②(いずれも水溶液)について、バルク状態でNMRにより成分の同定、成分濃度の見積もりが可能であるかに取り組んだ。測定は、室温においてバルク試料にDMSO-d6キャピラリーを入れ1Hおよび13C NMRスペクトルを測定した。

評価装置:NMR(500MHz) 装置Agilent製UNITY
INOVA 500
NMR(500MHz)装置 Bruker製AVANCE
IIIHD 500
  
3.結果と考察(Results and Discussion)
(1)試料①
   試料①をNMR測定重ロック用DMSO-d6キャピラリーとともに1H NMR(図1)、13C NMRを測定した。H-H COSYスペクトル(図2)より、エチレングリコールモノブチルエーテルの存在を確認した。図1において、水のシグナルの積分値とエチレングリコールモノブチルエーテルの積分値の比から、水の約5%(重量比)程度の存在量であると見積もることができた。エチレングリコールモノブチルエーテル以外の成分もあることが認められた。

  
   図1.試料①の1H NMRスペクトル

      図2.試料①のHH COSYスペクトル
(2)試料②
   成分濃度の低い試料②についても、同様にして評価した。現れるシグナルはごく小さいものであるが、13C NMRで
は明確な2本のシグナル、1H NMRでは3本のシグナルが検出された。1H NMRから見積もった成分濃度は水の1%弱であった。
4.その他・特記事項(Others)
本課題の検討を進めるにあたり、名古屋大学坂口特任教授、近藤一元氏(NMR測定)の支援を受けた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし

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