利用報告書
課題番号 :S-19-OS-0044
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :バイオナノファイバー由来炭素材料のデバイス応用に向けた構造解析
Program Title (English) :Structural Analysis of Bionanofiber-Derived Carbon Materials for
Device Applications
利用者名(日本語) :古賀大尚
Username (English) :H. Koga
所属名(日本語) :大阪大学 産業科学研究所
Affiliation (English) :The Institute of Scientific and Industrial Research、Osaka University
1.概要(Summary)
我々は、持続可能資源である樹木セルロースナノファイバーやカニ殻キチンナノファイバーを用いたグリーンエレクトロニクスを目指し、これらバイオナノファイバーの電子機能創発に取り組んでいる。セルロースやキチンは元々完全な絶縁体であるが、これまでに、精査した条件で段階的に炭化することによって、半導体さらには導体的な電気特性を発現させることに成功した。本研究では、これらバイオナノファイバーの炭化による電気特性遷移メカニズムを理解すべく、X線回折装置およびレーザーラマン顕微鏡を用いた構造解析を行った。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
【実験方法】
セルロースまたはキチンナノファイバーを窒素雰囲気下・300~1100℃で1時間炭化処理を施した。それらの炭化サンプルについて、X線回折装置およびレーザーラマン顕微鏡による構造解析を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
その結果、これらバイオナノファイバーを段階的に炭化処理すると、絶縁性バイオナノファイバー内部で微小な導電性グラフェンフラグメントが徐々に成長することによって(幅0.4-1.2 nm、厚み1.2 nm)、その電気特性が幅広く、かつ、段階的に変化することが明らかとなった。
4.その他・特記事項(Others)
本研究の一部は、「物質・デバイス領域共同研究拠点:人・環境と物質をつなぐイノベーション創出ダイナミック・アライアンスにおける共同研究「COREラボ」」、および、日本学術振興会・科学研究費助成事業・基盤研究(B)(No. 18H02256)の支援を受けました。この場をお借りして深く感謝申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Luting Zhu, Yuki Yoshida, Kojiro Uetani, Masaya Nogi, Hirotaka Koga, 第80回応用物理学会秋季学術講演会, 2019年9月18日
(2) Luting Zhu, Yuki Yoshida, Kojiro Uetani, Masaya Nogi, Hirotaka Koga, The 2nd edition of the International Symposium of CEFMS-NCTU, RCAS-AS and 5-star Alliance, 2019年11月4日
(3) Luting Zhu, Yuki Yoshida, Kojiro Uetani, Masaya Nogi, Hirotaka Koga, 第46回炭素材料学会年会, 2019年11月28日
(4) 森下哲孝、上谷幸治郎、能木雅也、古賀大尚、第46回炭素材料学会年会、2019年11月28日
(5) Luting Zhu, Yuki Yoshida, Kojiro Uetani, Masaya Nogi, Hirotaka Koga, The 23nd SANKEN International Symposium, The 18th SANKEN Nanotechnology International Symposium, 2020年1月9日
(6) 森下哲孝、黄茵彤、上谷幸治郎、能木雅也、古賀大尚、第70回日本木材学会年次大会、2020年3月16日
6.関連特許(Patent)
なし。