利用報告書

プラズマダメージを受けた絶縁膜材料のマイクロ波照射前後での電気伝導特性変化の研究
久山智弘, 江利口浩二
京都大学大学院工学研究科

課題番号 :S-18-NR-0033
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :プラズマダメージを受けた絶縁膜材料のマイクロ波照射前後での電気伝導特性
変化の研究
Program Title (English) :Effects of Microwave Annealing on the Recovery of Microscopic Defects in
Dielectric Films
利用者名(日本語) :久山智弘, 江利口浩二
Username (English) :T. Kuyama, K. Eriguchi
所属名(日本語) :京都大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :Graduate school of Eng., Kyoto University

1.概要(Summary )
半導体デバイスの微細加工にはプラズマプロセスを用いた原子スケールの表面反応制御が不可欠である.一方,プラズマプロセスでは,加工中に起こるイオン衝撃などのために,材料表面近傍に欠陥が生じる.このようなプラズマと固体表面との負の相互作用は「プラズマダメージ」と呼ばれ,近年問題視されている.特に絶縁膜は,プラズマダメージにより,その絶縁性・絶縁耐性が劣化することが知られている.
そこで我々は,これまで絶縁膜中のプラズマダメージ回復を目指し,プラズマに曝露したシリコン窒化(SiN)膜に対してマイクロ波照射アニール(MWA)を施す実験を行った.現在,電気特性解析から,表面にプラズマダメージを含むSiN膜の絶縁性が,MWA後に回復することが分かっている.しかし,絶縁性回復の起源となる構造変化の詳細は明らかになっていない.MWAによるSiN膜中のダメージ回復機構を明らかにするため,奈良先端大ナノテクノロジープラットフォーム拠点の設備を利用して,Arプラズマ曝露後にMWA処理を施したSiN膜表面の化学組成変化を解析した.

2.実験(Experimental)
【利用した装置】
多機能走査型X線光電子分光分析装置(XPS)
【実験方法】
サンプルはプラズマCVDにより製膜されたSiN膜(約40 nm)である.成膜直後(Ref.),Arプラズマ処理後(Ar+ Dam.),Arプラズマ処理+MWA後(Ar+ MWA)の各サンプルに対し,XPSを用いて表面組成変化を解析した.また,MWA処理温度は450℃である.
3.結果と考察(Results and Discussion)
Figure 1に,各SiN膜サンプルの規格化Si2pピークスペクトルを示す.プラズマ曝露後(Ar+ Dam.,Ar+ MWA)のピークスペクトルには,(Si–)O結合に起因する高結合エネルギー側のピークの存在が確認できる.これは,プラズマ処理後の大気曝露によってSiN膜の表面酸化が進展したためと考えられる.一方で,MWA前後のSi2pピークスペクトルには,明確な差異が見られなかった.したがって,MWAによるSiN膜の絶縁性回復は表面の化学組成変化が原因ではない,ということが確かめられた.

Figure 1 Normalized Si2p peaks before and after Ar plasma-exposure and/or MWA.

4.その他・特記事項(Others)
本研究開発は奈良先端科学技術大学院大学NAISTナノテクノロジープラットフォームにより支援を受けた.

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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