利用報告書

光るコラーゲンによるコラーゲン分泌過程の解析
田中利明1)
1) 東京工業大学生命理工学院

課題番号 :S-18-NM-0021
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :光るコラーゲンによるコラーゲン分泌過程の解析
Program Title (English) :Analysis for secretion and processing of collagen with live-imaging
利用者名(日本語) :田中利明1)
Username (English) :T. Tanaka1)
所属名(日本語) :1) 東京工業大学生命理工学院
Affiliation (English) :1) Dep. of Life Sci. and Tech., Tokyo Institute of Technology

1.概要(Summary )
従前の研究手法ではコラーゲンの生合成過程はほとんど解明されておらず、コラーゲン異常を起因とする疾患は難治性となっている。申請者は、従前法では不可能であったコラーゲン生合成過程を、新技術(光るコラーゲン)の開発により解析可能にした。線維芽細胞や骨芽細胞などコラーゲン分泌細胞への当該技術適用によりコラーゲン生合成過程を解析し、難治性疾患の原因解明に資するデータを得る。この研究遂行に必要となる光るコラーゲン安定細胞株を樹立する。
2.実験(Experimental)
昨年度の共同研究で樹立した骨芽細胞 MC3T3-E1の「光るコラーゲン」定常発現株3株について分化誘導を行い、コラーゲンのプロセシングと分泌を調べた。
使用装置:CO2インキュベーター、蛍光位相差顕微鏡、Western Blotting検出器
3.結果と考察(Results and Discussion)
光るコラーゲン骨芽細胞 MC3T3-E1安定発現株は、細胞増殖能、石灰化能、コラーゲン分泌能が3株で各々異なっていた(下図、黄色:プロコラーゲン、緑色:コラーゲン、赤色:C-propeptide、明視野により石灰化状態が白く見える)。最もコラーゲン分泌が活発な1株(#1B2)によりイメージング解析を行ったところ、光るコラーゲンの蛍光が細胞外で認められた。また、IP-Western blottingおよび培地の蛍光計測によっても光るコラーゲンの蛍光を同定できた。これらの結果により樹立安定発現株が光るコラーゲンを細胞外分泌していることを確認した。
4.その他・特記事項(Others)
謝辞:本研究の遂行に関して機器、技術、実験に関する支援を頂いた(株)資生堂 常長誠 博士、NIMS森田浩美 氏、箕輪貴司 博士、東工大 守矢恒司 氏に深く感謝いたします。「光るコラーゲン」プロジェクトについて親身にアドバイス頂いた東工大 生駒俊之 先生並びにNIMS花方信孝 先生に深く感謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)K.Kawaguchi, A.Endo, Y.Madoka, T.Tanaka, M.Komada. Biochemical and Biophysical Research Communications 499 (2018), pp635-641.
(2)田中利明、常長誠、柳川享世、茂呂忠、内山太郎、上田修、田川陽一、稲垣豊、生駒俊之, 第50回日本結合組織学会, 平成30年6月29日.
(3) 守矢恒司、生駒俊之、田中利明、第41回日本分子生物学会年会、平成30年11月30日.
(4) 田中利明、第5回 LiHub フォーラム(主催)、平成30年12月13日.
(5) 田中利明、第9回化粧品開発展アカデミックフォーラム、平成31年1月31日.
6.関連特許(Patent)
(1) 田中利明、生駒俊之、田中順三, 「コラーゲン融合タンパク質、及びそれを用いた薬剤のスクリーニング方法」、WO2016152882 A1、2016年9月29日.

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