利用報告書

電位サイクル耐久性を兼ね備えた高活性電極触媒の開発
佐々木 一成1,2)
1) 九州大学工学研究院機械工学部門, 2) I2CNER

課題番号 :S-17-KU-0006
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :電位サイクル耐久性を兼ね備えた高活性電極触媒の開発
Program Title (English) :Development of high effective catalyst with high durability to electrochemical measurement
利用者名(日本語) :佐々木 一成1,2)
Username (English) :Kazunari Sasaki1,2)
所属名(日本語) :1) 九州大学工学研究院機械工学部門, 2) I2CNER
Affiliation (English) :1) Dep.Eng., Kyushu University, 2) I2CNER

1.概要(Summary )
従来のSn(Nb)O2/VGCF担体材料にPtxMy合金粒子を担持し、電位サイクル耐久性を兼ね備えた純白金触媒を超える活性を有する電極触媒を開発し、実作動条件下で性能と耐久性を検証・実証するため、ナノ炭素燃料電池評価システムを利用して評価を行った。固体電気化学、化学熱力学の知見を用い、高耐久高機能極触媒設計のための指針を明らかにし、燃料電池や関連する電気化学デバイスの設計論の構築に活用した。

2.実験(Experimental)
燃料電池セルを作製し、燃料電池自動車の寿命 に相当する 6 万サイクル(1.0〜1.5V)の耐久試験を、ナノ炭素燃料電池評価システム(東陽テクニカ製)を用いて実施した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
PEFCのカソード電極触媒には、カーボンブラック上に担持したPt触媒が広く使用されているが、Pt/Cはカソード高電位におけるカーボンの酸化腐食によりPtの脱離・凝集が引き起こされるため、耐久性に課題がある。本研究グループでは、Nbをドープした酸化物SnO2と導電補助材VGCFを担体として用いることで、高活性と高耐久性を両立した電極触媒の開発を実現してきた。この従来のSn(Nb)O2/VGCF担体材料に高い酸素還元活性を持ち、合金化による高価なPt使用量低減も期待できるPtxMy合金粒子を担持することで、電位サイクル耐久性を兼ね備えた、純白金触媒を超える活性を有する電極触媒を開発することを研究目的とした。
ハーフセル電気化学測定結果から、PtxMy合金化によるORR活性向上効果を確認できた。SnO2の還元が促進されない状態でPtとCoの合金化が進む最適な熱処理条件は、Co担持後にN2雰囲気下で210℃(3h) → 240℃(3h) → 270℃(1h)で行う条件であることがわかり、0.9 VRHEで極めて高いMass activityがSn(Nb)O2担持Pt3Co合金触媒で得られた。また合金触媒においてもSnO2を担体として用いることで、標準触媒Pt/Cよりも高い起動停止サイクル、負荷変動サイクルに対する耐久性が得られることがわかった。
Pt3Co/Sn(Nb)O2/VGCFをカソード触媒に用いた単セル電気化学測定結果からは、標準触媒Pt/Cにせまる初期のセル電圧が確認された。また耐久性に関しては、ハーフセル測定結果と同様、ECSAとセル電圧の両面でPt/Cよりも高い起動停止サイクルと負荷変動サイクルに対する耐久性を確認できた。

4.その他・特記事項(Others)
なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Y. Nakazato, D. Kawachino, Z. Noda, J. Matsuda, A. Hayashi, K. Sasaki, “SnO2-Supported Electrocatalysts on Various Conductive Fillers for PEFCs”, ECS Transactions, 80 (8), pp. 897-906 (2017) 他4件

6.関連特許(Patent)
なし。

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