利用報告書

チタニア担持貴金属ナノ粒子の紫外可視吸収スペクトル測定
篠﨑貴旭1), 高ヨハン1), 村山美乃1)
1) 九州大学大学院理学研究院

課題番号 :S-17-KU-0061
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :チタニア担持貴金属ナノ粒子の紫外可視吸収スペクトル測定
Program Title (English) :Measurements of UV-vis spectra for TiO2 supported metal nanoparticles
利用者名(日本語) :篠﨑貴旭1), 高ヨハン1), 村山美乃1)
Username (English) :T. Shinozaki1), K. Yohan1), H. Murayama1)
所属名(日本語) :1) 九州大学大学院理学研究院
Affiliation (English) :1) Faculty of Science, Kyushu University

1.概要(Summary )
化石燃料中に含まれる硫黄化合物は大気汚染などの要因になるため,10 ppm以下までの深度脱硫が求められている。しかし,一部に流通段階においても脱硫が不十分な燃料もあり,常温常圧で行える吸着脱硫はこれらに有効な手段となりえる。本研究では,硫黄化合物との親和性が高い金や銀などの貴金属ナノ粒子を活用した深度脱硫用吸着剤の開発を目指した。
金や銀などのナノ粒子は,表面プラズモン共鳴による紫外-可視光領域の光吸収が知られており,光照射によって外部からエネルギーが与えられることで,吸着した硫黄化合物が分解され,脱硫が促進することも期待される。そこで,紫外可視近赤外分光測定装置を用いて,調製した金および銀ナノ粒子の光吸収特性を調べ,走査透過型電子顕微鏡で観察した粒子径と関係を検討した。

2.実験(Experimental)
粉末状のチタニア担持金ナノ粒子(Au/TiO2)およびチタニア担持銀ナノ粒子(Ag/TiO2)をそれぞれ専用のサンプルフォルダにセットし,積分球を備えた紫外可視近赤外分光測定装置により拡散反射法で吸収スペクトルを測定した。比較として,担体のチタニアのみのスペクトルも測定した。測定範囲は240 nm-800 nmとした。基準白板には硫酸バリウムを用いた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
それぞれの試料のスペクトルをFigureに示す。Au/TiO2では,500 nm-650 nmの範囲のブロードなピークと400 nm以下のふたつの吸収が観測された。このうち,400 nm以下の吸収はチタニアの吸収と一致しており,担体によるものと帰属された。500 nm-650 nmのブロードなピークが金ナノ粒子によるもの考えられ,このことは,試料の色が青紫色であることとも一致した。一方で,Ag/TiO2には400 nm以下の吸収以外にピークは観測されなかった。また,走査透過型電子顕微鏡では,どちらも主に約3 nm程度の粒子が観察された。これらの結果より,可視光を吸収する金ナノ粒子は,粒子径を5 nm以下程度とすればよいことがわかった。銀ナノ粒子では,今後さらに粒子径と吸収スペクトルの関係を調べ,調製方法の最適化をする必要があると考えられる。

4.その他・特記事項(Others)
なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 篠﨑貴旭,高ヨハン,村山美乃,山本英治,徳永信,日本化学会第98回春季年会,3E5-47,2018年3月22日

6.関連特許(Patent)
なし。

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