九州大学
2014年度 成果事例
新規燃料電池電極触媒の開発
【目 的】
次世代燃料電池電極触媒には低白金化が求められている。本目的に対して開発している新たな触媒のナノ構造を解析する。エネルギー問題に対する解決策の一つとして固体高分子形燃料電池(PEFC)が注目されている。普及には低コスト化が必須で、そのためには触媒白金量の大幅な低減が避けられない。これまでに異種金属とのコアシェル化、アロイ化などで白金量を低減し、白金比表面積を増やす工夫がなされてきた。本研究では、白金の粒子径を低減し、質量活性を高めることで低白金化を実現することを目指した。
【成 果】
ポリマー(PBI)被覆カーボンナノチューブを担持体とし、白金の粒径が異なる3つの燃料電池触媒を合成した(図1)。触媒構造は、Raman分光、TEM, SEM等で調べた。PBI被覆CNT量に対して45wt%の白金を担持させた触媒では、白金ナノ粒子の粒径が3.7nmであったのに対し、4wt%担持した触媒では粒径は2.3nmであった。それぞれの複合体を用いて燃料電池セルを組み、無加湿120℃(燃料;水素、空気)条件下で動作させ、燃料電池性能を評価した。白金粒径2.3nm(図1下)触媒では、3.7nm粒径の触媒に比べて、白金の質量活性が8倍と大幅に向上することが明らかとなった。この成果は白金利用料低減につながる成果であり、今後の展開が期待出来る。