利用報告書

アルカリ土類鉄ケイ酸塩ガラスの57Feメスバウアー分光測定
助永壮平1),古賀拓郎1,2), 柴田浩幸1)
1) 東北大学多元物質科学研究所, 2) 東北大学大学院工学研究科

課題番号                :S-19-NI-0029

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :アルカリ土類鉄ケイ酸塩ガラスの57Feメスバウアー分光測定

Program Title (English) :57Fe Mössbauer studies on alkaline-earth iron silicate glasses

利用者名(日本語)      :助永壮平1),古賀拓郎1,2), 柴田浩幸1)

Username (English)     :S. Sukenaga1), T. Koga1,2), H. Shibata1)

所属名(日本語)        :1) 東北大学多元物質科学研究所, 2) 東北大学大学院工学研究科

Affiliation (English)  :1) IMRAM, Tohoku University, 2) Graduate school of Engineering, Tohoku University

 

 

1.概要(Summary )

酸化鉄は様々な高温工業プロセスで扱われるケイ酸塩融体(例:金属製錬スラグ)の主成分の一つである。ケイ酸塩融体やガラス中の陽イオンは網目構造を形成するNetwork Formerと網目構造を切断するModiferに分類される。融体中の酸化鉄はFe2+またはFe3+として存在し、Fe2+は主にModiferに分類される。一方で、Fe3+は組成や塩基度によってNetwork FormerまたはModifierとして挙動する両性酸化物であることが知られている。Fe2+とFe3+の構造的役割や酸素イオンとの結合強度が異なるため, 鉄イオンの酸化状態が融体の物性(粘度や融点、精錬能など)に影響することになる。したがって、鉄イオンの酸化状態や局所構造を詳細に解析することが融体や同急冷ガラスの物性理解につながる。本研究では、金属製錬スラグの基本成分からなるカルシウム鉄ケイ酸塩ガラスを作製し、ガラス中の鉄イオンの酸化状態について、メスバウア分光分析により明らかにすることを目的とした。

 

2.実験(Experimental)

配合組成を30 mol% CaO – 60 mol% SiO2 – 10 mol% Fe2O3とした。試薬粉末を所定の割合で混合し、1773 K大気中(Ptるつぼ)にて15 min溶融した。溶融後の試料を銅板上で急冷した。得られたガラス7 gをPtるつぼに入れ、1773 KのAr-1%H2、Ar、Air、O2雰囲気中で5時間溶融した。その後、試料融液を銅板で挟み込むことで急冷し、ガラス状態の試料を得た。得られた試料中の鉄の酸化状態をメスバウアー分光分析に用いた。メスバウア分光装置を使用し、粉末状のガラス試料を対象に透過法により室温下で測定を行なった。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

いずれの雰囲気で作製したガラスのメスバウアスペクトルもガラス中の鉄イオンが、Fe2+およびFe3+イオンの2種類の陽イオンとして存在することを示していた。また、それぞれの価数の鉄イオンに帰属する信号の面積比からFe3+イオンとFe2+イオンの存在比を見積もった。Fe3+/Fe3+比は、溶融雰囲気がO2 > Air > Ar > Ar-1%H2の順に大きいことが明らかになった。雰囲気中の酸素分圧が高いほど、Fe3+の割合が高くなることが見出された。

 

4.その他・特記事項(Others)

謝辞:メスバウア分光測定および解析を実施いただいた名古屋工業大学 教授 壬生攻先生に感謝する。本研究は、科研費(19K05106)の助成を受けたものである。

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

(1)T.Koga, S, Sukenaga, K. Shinoda and H. Shibata, 第19回多元研発表会,令和元年12月12日.

(2)古賀拓郎,助永壮平,篠田弘造,柴田浩幸 第60回ガラスおよびフォトニクス材料討論会, 令和元年12月4日.

(3) T.Koga, S, Sukenaga, K. Shinoda and H. Shibata, An-Pang Tsai Memorial joint symposium of Taipei Tech and Tohoku University, 令和元年11月26日.

他2件

 

6.関連特許(Patent)

なし

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