利用報告書
課題番号 :S-16-MS-1025
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :「X線結晶構造解析による不斉合成化合物の絶対構造の決定」
Program Title (English) :Absolute structure determination of asymmetrically synthesized compounds
with X-ray crystal structure analysis
利用者名(日本語) :藤沢 郁英1)
Username (English) :Ikuhide Fujisawa1)
所属名(日本語) :1) 豊橋技術科学大学 環境・生命工学系
Affiliation (English) :1) Environmental and Life Sciences, Toyohashi University of Technology
1.概要(Summary )
分子科学において、正確な分子の三次元立体構造はその分子の反応を考えたり、性質を予測したりする上で非常に重要である。本研究では、種々の化合物の新規構造をX線結晶構造解析で絶対構造まで決定することにより、各化合物の理解を深め、分子科学の分野に貢献することを目的としている。
2.実験(Experimental)
有機合成を行っている研究室からの依頼で、合成された4種類の有機低分子の絶対構造をX線結晶構造解析により決定することを目指し、より高分解能で、良いデータを得られるように試みた。5月 11, 12日、8月29, 30, 31日、9月2, 8, 9, 10, 14,15日、12月12日、1月19日に貴施設の単結晶X線回折測定装置(Mo線源、Rigaku社製 Mercury CCD-1, CCD-2)を使用し、CCDカメラで回折データを収集した。3種類の結晶からは120 Kでの測定で解析に十分な回折点が得られた。1種類の結晶では結晶性が悪かったせいか、高角までの反射は得られなかった。構造解析は大学にデータを持ち帰って行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
3種類の化合物について、高分解能の回折データを測定でき、構造解析により絶対構造までの構造決定を行うことができた。依頼者に報告し、論文中で使用される予定である。
1種類の化合物については、回折点が得られ、格子定数も決定でき、構造もほぼ決定できたが、高角の反射が得られず、データ数が足りないため、結晶性を改善し、再度測定する予定である。
今回、軽元素のみから成る化合物の絶対構造決定は別の他大学の装置を利用させてもらった。貴施設にR-AXIS RAPID II (Rigaku)のようなCu線源で高角まで測定できる回折装置があれば、測定の選択肢も増え、効率よく一度に測定を行うことが期待できる。
4.その他・特記事項(Others)
貴施設の単結晶X線回折装置の利用時には分子科学研究所機器センターの藤原先生と岡野先生には大変お世話になりました。ありがとうございました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(前年度までに測定し構造決定を行った結果が論文の一部になった)
Y. Nakagawa, S. Chanthamath, I. Fujisawa, K. Shibatomi, and S. Iwasa, Chem. Commun. (Camb.), 53(26), (2017), p.p. 3753-3756.
6.関連特許(Patent)
なし。







