利用報告書

アニオン型燃料電池電解質膜の構造、特性解明
磯村 武範
株式会社トクヤマ

課題番号 :S-15-KU-0051
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :アニオン型燃料電池電解質膜の構造、特性解明
Program Title (English) :Structure and property of anionic-type fuel cell polymer electrode membrane
利用者名(日本語) :磯村 武範
Username (English) :T. Isomura
所属名(日本語) :株式会社トクヤマ
Affiliation (English) :Tokuyama Corporation.

1.概要(Summary )
(株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜の構造、特性を解明する。アニオン型燃料電池用触媒は、白金ではなく安価なニッケルやコバルトを金属触媒として利用できるため、燃料電池の本格普及にたいして重要な位置を占めている。しかし、現状は、アルカリ中での耐久性が十分ではなく、高耐久性のニオン型燃料電池用の電解質膜の開発が社会から強く要望されている。(株)トクヤマでは、これまで数種類のアニオン型燃料電池用の電解質膜を開発し、世界のアニオン型燃料電池用の電解質膜研究者に提供してきた。九州大学が開発したPBI修飾カチオン型ポリマー電解質膜と(株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜の比較評価、並びに、九州大学が開発したPBI修飾カチオン型ポリマー触媒と株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜を用いて、電解質膜接合体(MEA)を作製して、その性能を評価した。

2.実験(Experimental)
九州大学が開発したPBI修飾カチオン型ポリマー電解質膜と(株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜をアルカリ水溶液に浸漬し、得られたポリマーを九州大学ナノテクノロジープラットフォーム登録のX線光電子分光機器、ならびに核磁気共鳴スペクトル、走査型電子顕微鏡で分析した。また、九州大学が開発したPBI修飾カチオン型ポリマー触媒と株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜を用いて、電解質膜接合体(MEA)を作製して、九州大学ナノテクノロジープラットフォーム登録の燃料電池特性評価装置で、その特性を評価した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
実際のアニオン型燃料電池用の電解質膜では、高耐久性アニオン伝導膜の研究では、50 ℃、RH=100%の条件においてOCV劣化試験の結果が100時間で5%以内であることが要求される。しかしながら、九州大学が開発したPBI修飾カチオン型ポリマー電解質膜と(株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜は、いずれも、アルカリ中での安定性が十分ではないことがわかった。
一方、九州大学が開発したPBI修飾カチオン型ポリマー触媒と株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜を用いて作製の電解質膜接合体(MEA)は、燃料電池特性評価装置でのポーラリゼションカーブ測定で、50mW/cm2程度のパワー密度を示すことが明らかになった。

4.その他・特記事項(Others)
なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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