利用報告書

アニオン型燃料電池電解質膜の構造、特性解明
磯村 武範
株式会社トクヤマ

課題番号 :S-16-KU-0051
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :アニオン型燃料電池電解質膜の構造、特性解明
Program Title (English) :Structure and property of anionic-type fuel cell polymer electrode membrane
利用者名(日本語) :磯村 武範
Username (English) :T. Isomura
所属名(日本語) :株式会社トクヤマ
Affiliation (English) :Tokuyama Corporation.

1.概要(Summary )
(株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜の構造、特性を解明する。アニオン型燃料電池用触媒は、白金ではなく安価なニッケルやコバルトを金属触媒として利用できるため、燃料電池の本格普及にたいして重要な位置を占めている。しかし、現状は、アルカリ中での耐久性が十分ではなく、高耐久性のニオン型燃料電池用の電解質膜の開発が社会から強く要望されている。(株)トクヤマでは、これまで数種類のアニオン型燃料電池用の電解質膜を開発し、世界のアニオン型燃料電池用の電解質膜研究者に提供してきた。(株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜および、九州大学が開発した無白金型燃料電池触媒を用いて、電解質膜接合体(MEA)を作製して、その性能を評価した。

2.実験(Experimental)
九州大学が開発した鉄/フタロシアニン型無白金型燃料電池触媒と(株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜を用いて、電解質膜接合体(MEA)を作製して、九州大学ナノテクノロジープラットフォーム登録の燃料電池特性評価装置で、アルカリ条件下での、その特性を評価した。また触媒の構造をラマン分光装置で測定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
MEA作製による触媒カーボンの構造変化は認められなかった。九州大学開発の上記無白金型触媒と(株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜を用いて電解質膜接合体(MEA)を作製し、燃料電池特性評価装置を用いて、ポーラリゼションカーブを測定したところ、〜50mW/cm2程度のパワー密度を示すことが明らかになった。この値は、無白金型燃料電池触媒としては、十分評価できる性能であると考えられるが、まだ、従来の白金型触媒に比べると性能は不十分である。実際のアニオン型燃料電池用の電解質膜では、高耐久性アニオン伝導膜の研究では、50 ℃、RH=100%の条件においてOCV劣化試験の結果が100時間で5%以内であることが要求される。今後、性能の再現性評価、実験条件の検討、ならびに、さらなるパワー密度と耐久性の向上にむけての研究を行っていきたい。

4.その他・特記事項(Others)
なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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