利用報告書

アミジナート架橋ルテニウム(II,III)二核錯体の構造解析と電子状態に関する研究
片岡 祐介1), 矢野 なつみ1)
1) 島根大学大学院自然科学研究科

課題番号 :S-18-MS-1043
利用形態 :機器センター施設利用(ナノテクノロジープラットフォーム)
利用課題名(日本語) :アミジナート架橋ルテニウム(II,III)二核錯体の構造解析と電子状態に関する研究
Program Title (English) :Experimental Study for Structural Analysis and Electronic Structure of
Amidinato-bridged diruthenium(II,III) complexes
利用者名(日本語) :片岡 祐介1), 矢野 なつみ1)
Username (English) :Y. Kataoka 1), N. Yano1)
所属名(日本語) :1) 島根大学大学院自然科学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Natural Science and Engineering, Shimane University

1.概要(Summary )
ルテニウム二核間に結合を有するパドルホイール型ルテニウム二核錯体は、Ru26+, Ru25+, Ru24+の 3種類の電子状態を取ることが可能な酸化還元活性な多核金属錯体である。これらのルテニウム二核錯体はそれぞれ、S = 1, 3/2, 1のスピン状態を取る為、近年では、配位高分子磁性体のビルディングブロックとしての利用に興味が持たれている。これまでに数多くのルテニウム二核錯体が合成され、それらの磁気特性と電気化学的性質が報告されてきたが、それらの多くは、Ru25+錯体である。また、Ru25+錯体に比べ報告例は少ないが、Ru24+錯体に関しても合成方法や磁気特性に関する知見が学術論文に報告されている。しかしその一方で、Ru26+錯体の報告例は極めて少なく、それらの合成方法、電気化学特性、磁気特性などに関する知見は未だ確立されていない部分が多い。この背景に対し申請者は、ベンズアミジナートで架橋したルテニウム二核錯体[Ru2(bam)4Cl2]が、Ru26+の電子状態を取り、S=1のスピン状態を有する事を確認した。本成果は、平成27, 28年度施設利用の研究成果であり、既に学術論文として報告した。[1] 更には、ルテニウム二核骨格の軸位に配位しているハロゲンイオンが銀塩との反応で脱離・交換可能なことも明らかにした[平成29年度後期施設利用(ナノプラット)の研究成果, 論文作成中]。本申請研究では、ベンズアミジナート架橋ルテニウム二核錯体の合成方法を基に、様々なアミジナート配位子で架橋したルテニウム二核錯体を開発し、それらの錯体の構造(単結晶X線構造解析)と電子状態(磁化率測定)を調査する事を目的とする。
2.実験(Experimental)
単結晶X線回折測定測定は、単結晶X線回折装置RIGAKU MERCURY CCD-1, CCD-2及びHyPix-AFCを使用し、窒素噴霧低温下−123℃で実施した。磁化率測定は、Quantum Design MPMS-7とMPMS-XLを使用し、磁場5000 Oe、温度範囲2-300Kの条件で測定を実施した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
様々なアミジナート架橋ルテニウム二核錯体を合成した結果、電子吸引性であるトリフルオロメチルアミジナートを配位子とした際に、ルテニウム(II,III)二核錯体が得られることが明らかになった。単結晶X線構造解析の結果、得られた錯体は、1次元鎖状構造を形成していることが確認できた。また、同錯体の磁化率測定を実施した結果、S=3/2の電子状態であり、温度の低下に伴い強いゼロ磁場分裂を示す事が確認できた。

図1. ルテニウム二核錯体の結晶構造
4.参考文献(Reference)
[1] Y. Kataoka, et. al., Polyhedron, 2017, 136, 87-92.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 奥野愛里, 片岡祐介, 崎山博史, 満身稔, 川本達也, 半田真, 錯体化学会第68回討論会, 平成30年7月28日.
6.関連特許(Patent)
なし

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