利用報告書
課題番号(Application Number): S-16-NR-0054
利用形態(Type of Service): 技術代行
利用課題名(日本語) :アミロイド線維の構造に関する研究
Program Title (English) : A study on amyloid fibril structure
利用者名(日本語) :田中剛貴, 山中智行
Username (English) : Tanaka Goki , Yamanaka Tomoyuki
所属名(日本語) : 同志社大学脳科学研究科
Affiliation (English) : Doshisha University graduate school of brain science
1.概要(Summary )
神経変性疾患の病変部位には異常タンパク質の凝集化がしばしば観察される.近年,神経変性疾患の多様性と異常化したタンパク質が形成する凝集体(アミロイド)の構造の多様性の関連が盛んに議論されているが,凝集体の構造はnmオーダーの形態学的特徴も明らかではない部分が多い.
本研究課題では神経変疾患であるパーキンソン病の病因タンパク質と考えられているヒトαシヌクレインとそのホモログであるマウスαシヌクレインをそれぞれ試験管内で凝集化させ,透過型電子顕微鏡で観察することで2種類のアミノ酸配列が異なるαシヌクレイン凝集体の形態学的な違いに迫った.
2.実験(Experimental)
大腸菌で精製した組み換えヒトおよびマウスαシヌクレインタンパク質を37℃で温浸することで凝集化した.超遠心によって集めた凝集体画分をリンタングステン酸でネガティブ染色し,透過型電子顕微鏡で観察した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
5000倍での観察から,ヒトαシヌクレインに比べてマウスαシヌクレインの凝集体はアミロイドの固まりを作りやすい様子が観察された.40000倍では,ヒトαシヌクレインの凝集体はねじれているものやロッド状のもの,そして同じ方向を向いた束を作っているものが観察された.すなわち,ヒトαシヌクレインはヘテロなアミロイド集団であることが示唆された.一方でマウスαシヌクレインの凝集体を40000倍で観察すると概ね一様で多方向性をもったアミロイドが観察された.
本結果から,大腸菌で精製したヒトおよびマウスαシヌクレインは試験管内ではそれぞれ形態学的に異なるアミロイド集団を形成する可能性が示唆された.
利用装置:透過型電子顕微鏡
4.その他・特記事項(Others)
謝辞:
本研究課題は奈良先端大学大学院技術職員藤田咲子氏の技術代行により,成し遂げられました.深く感謝いたします.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







