利用報告書
課題番号 :S-16-JI-0018
利用形態 :技術代行支援
利用課題名(日本語) :イオン液体を反応媒体に用いた高性能電極触媒の開発
Program Title (English) :Development of high-performance electrocatalysts using ionic liquids
as reaction media
利用者名(日本語) :津田哲哉
Username (English) :T. Tsuda
所属名(日本語) :大阪大学 大学院工学研究科 応用化学専攻
Affiliation (English) :Department of Applied Chemistry, Graduuate School of Engineering
Osaka University
1.概要(Summary )
クリーンな発電装置である固体高分子形燃料電池は酸素還元電極触媒として、Ptナノ粒子担持炭素材料が用いられている。しかしながら、Ptはレアメタルであり、その使用量削減が重要な研究課題となっている。このような背景から、我々は単にPt使用量を削減するだけでなく、触媒性能の向上も可能な新規性の高い電極触媒作製法の開発を目指している。本課題では、我々の提案する電極触媒作製法で得られた材料をナノスケールで分析するとともに、その結果を触媒作製条件に反映することで、Pt使用量の削減と触媒高性能化の2つを満たす触媒作製条件を探索した。
2.実験(Experimental)
Pt塩、Ni塩などをイオン液体に溶解させた反応媒体を利用して、Pt-Ni合金ナノ粒子担持炭素材料を作製した。得られたナノ粒子の粒径や組成はJEOL JEM-ARM200F透過型電子顕微鏡(TEM)、Gatan-Quantum電子エネルギー損失分光測定装置(EELS)により観察・分析した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
我々の提案する方法でナノ粒子担持炭素材料が得られることは既にわかっている。しかしながら、それぞれの粒子の組成や構造に関する情報が不足しているため、高分解能TEMによるナノ粒子の観察を試みた。その結果、ナノ粒子の中心部(コア)と外側(シェル)の組成が明確に異なるコアシェル構造ではなく、fcc構造のPt-Ni合金であることが示唆された(Fig. 1)。また、得られた材料の酸素還元触媒能を調査したところ、Ptナノ粒子が担持された市販触媒の1.5倍の質量活性を示すことがわかった。一方、同様の方法で作製した材料については、市販触媒と類似の値を示したことから、質量活性の増大はPt-Ni合金ナノ粒子の形成によるものであることが強く示唆された。
4.その他・特記事項(Others)
本研究の一部は科学研究費助成事業 基盤研究(B) 15H03591の助成により行いました。また、北陸先端科学技術大学院大学 大島義文准教授の技術支援を受けて研究を遂行しました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Y. Yao, R. Izumi, T. Sakamoto, T. Tsuda and S. Kuwabata, 2016 International Symposium on Integrated Molecular Materials Science & Engineering (IMSE 2016), October 15, 2016.
(2) Y. Yao, R. Izumi, T. Tsuda and S. Kuwabata, 第7回イオン液体討論会, 2016年10月25日.
6.関連特許(Patent)
なし