利用報告書
課題番号 :S-19-JI-0002
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :エレクトロスプレー質量分析によるフェネチルピリジニウムのフラグメンテーション
Program Title (English) :Fragmentation of Phenethylpyridinium by Electrospray Mass Spectrometry
利用者名(日本語) :浅川大樹
Username (English) :D. Asakawa
所属名(日本語) :国立研究開発法人 産業技術総合研究所
Affiliation (English) :National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
1.概要(Summary )
フェネチルアミンはフェニルアラニンの脱炭酸により生成し、脳において神経伝達物質として機能する。この誘導体には、ホルモンなど多様な化合物が含まれ、脳疾患のバイオマーカーとして注目されている。このフェネチルアミン類の分析には液体クロマトグラフィー/質量分析法(Liquid Chromatography/Mass Spectrometry; LC/MS)が用いられる。LC/MSでは、LCで分離された試料分子をエレクトロスプレーイオン化により気相イオンとし、質量分析計に導入する。多くの生体分子はエレクトロスプレーイオン化によりプロトン化分子を生じる一方で、フェネチルアミン類の多くはエレクトロスプレーイオン化によって分解(フラグメンテーション)を受けることが明らかとなっている。しかしながら、このフラグメンテーションのメカニズムや、生成するフラグメントイオンの構造は明らかとなっていない。本研究は、このフェネチルアミン類のフラグメンテーション過程を明らかとするために、類似化合物であるフェネチルピリジニウムのフラグメンテーション過程について検討を行った。
2.実験(Experimental)
塩化4-メトキシフェネチルピリジニウムは1-(2-クロロエチル)-4-メトキシベンゼンをピリジン中で還流することにより合成し、再結晶法により精製した。得られた4-メトキシフェネチルピリジニウムを10 μMに調整し、エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析計(TQS Micro, Waters)に導入し、分析を行った。比較として、4-メトキシフェネチルアミンを同様の条件にて分析を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Figure 1に4-メトキシフェネチルアミンと塩化4-メトキシフェネチルピリジニウムをエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)で分析した結果を示す。4-メトキシフェネチルアンモニウムと4-メトキシフェネチルピリジニウムがそれぞれm/z 152, 214に検出されている。このイオンに加え、エレクトロスプレーイオン化の際に生じたフラグメントイオンがm/z 135に検出されている。4-メトキシフェネチルアミン、塩化4-メトキシフェネチルピリジニウム共に同一のフラグメントイオンを生じることから、このフラグメントイオンの組成はCH3O-C6H5-C2H4+であると予想される。さらに、このフラグメンテーションは正電荷を持った窒素原子にN-C結合の共有電子対が移動することにより起こることが推測される。この実験結果を基に、計算化学を用いより詳細なメカニズムについて検討を行う予定である。
Figure 1.ESI-MS mass spectra of (a) 4-methoxy-phenethylamine and (b) 4-methoxy-phenethylpyridinium amine
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







