利用報告書

カーボンナノチューブの分離に関する研究
橋本 剛
株式会社名城ナノカーボン

課題番号 :S-14-KU-0045
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :カーボンナノチューブの分離に関する研究
Program Title (English) :Study on Separation of Carbon Nanotubes
利用者名(日本語) :橋本 剛
Username (English) :T. Hashimoto
所属名(日本語) :株式会社名城ナノカーボン
Affiliation (English) :Meijo Nano Carbon Co., Ltd.

1.概要(Summary )
フラビン類用いたカーボンナノチューブの分離に関する九大との共同研究を促進するために、ナノテクPF登録機器を活用する。名城ナノカーボン社は、数種の単層カーボンナノチューブを製造している。これらはいずれも半導体カーボンナノチューブと金属性カーボンナノチューブの混合物である。九州大学は、これらの混合物の分離に関する優れた手法を開発している。ここでは、九州大学ナノテクプラットフォーム登録機器を用いて、これら混合物の分離する手法について習得することを目的とした。

2.実験(Experimental)
素材としては、市販のCoMoCAT単層カーボンナノチューブを用いて、まず、ナノチューブの可溶化法を取得した。具体的には、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)水溶液を用いて超音波で1時間分散、その後超遠心操作(10000g)で上澄み80%を回収した。また、トルエン中で、半導体カーボンナノチューブと金属性カーボンナノチューブの分離剤(分離剤A)を用いて、同様の操作で、可溶化溶液を作成した。これらの溶液に対して、九州大学ナノテクプラットフォーム登録機器で分析した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
上記溶液の分析に対して、UV-Vis-近赤外分光光度計(日本分光社製 V-670ST)を用いて、可溶化SWNTの吸収スペクトルを測定したところ、いずれの溶液でも近赤外吸収スペクト領域にシャープな単層カーボンナノチューブのスペクトルを観測した。次に、近赤外蛍光分光装置(NanoLog-3、HORIBA JOBIN YVON社製)を用いて、可溶化溶液のフォトルミネッセンススペクトルを測定したところ、複数の(n,m)カイラリティを持つ単層ナノチューブのフォトルミネッセンスが明確に観測された。さらに、レーザーラマン顕微鏡(ナノフォトンRaman-touch)を用いて、ラマンスペクトルを測定したところ、界面活性剤では、半導体カーボンナノチューブと金属性カーボンナノチューブのつのピークが観測されたが、半導体カーボンナノチューブと金属性カーボンナノチューブ分離剤を用いた溶液では、半導体カーボンナノチューブのピークのみが観測され、半導体カーボンナノチューブと金属性カーボンナノチューブの分離が、効率よく進行したことがわかった。
以上より、半導体カーボンナノチューブと金属性カーボンナノチューブの分離に対しての基本的な操作を取得できたことがわかった。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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