利用報告書
課題番号 :S-20-KU-0034(試行的利用 採択No03)
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :カーボンナノチューブの自発的集積化によるマクロスコピックパターニングの研究
Program Title (English) :Study on macroscopic self-assembled patterns of SWCNT
利用者名(日本語) :安倍 悠朔1), 松田 佑1)
Username (English) :A. Yusaku Abe1), B. Yu Matsuda1)
所属名(日本語) :1) 早稲田大学 理工学術院
Affiliation (English) :1) Faculty of Science and Engineering, Waseda University
1.概要(Summary )
単層カーボンナノチューブ(SWCNT: Single-walled carbon nanotube)は,優れた機械的特性,電気的特性を有することから材料科学および電子通信技術の次世代を担う素材として注目されている.しかし,高アスペクト比で強い分子間力を持つ SWCNTを分離,配列化することは難しく,デバイス応用の妨げとなっている.そこで本研究ではSWCNTを簡単に配列化する手法の構築により,SWCNTデバイスの実現に貢献することを目指す.本研究により開発した手法は,SWCNTを分離するプロセスと配列化するプロセスから構成される.分離するプロセスでは溶液中でSWCNTにフルオレンを含む高分子を混ぜることでSWCNTの分離を実現する.また,配列化するプロセスではスピンコート法により基板上に前のステップで調製したSWCNT溶液を成膜することでSWCNTのパターンを発現させる.
2.実験(Experimental)
SWCNTとフルオレンを含む高分子の混合に分離用小型超遠心機(15-2)を使用した.つづいて,スピンコート法をもちいてSWCNT溶液をシリコン基板上に成膜し,SWCNTを配列化した.
また,各種分析装置を用いてSWCNTを配列化した膜を解析した.走査型プローブ顕微鏡(16-1)を用いて膜表面の形態観察を行い,SWCNTの配列を解析した.また,高速レーザーラマン顕微鏡(5-1)を用いた解析により,膜表面にSWCNTが存在しているかを確かめた.そのほか,超高分解能走査電子顕微鏡(20-1)による表面観察や紫外可視近赤外分光測定装置(8-1および9-1)を用いたSWCNTの同定も実施した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
走査型プローブ顕微鏡による膜表面の形態観察の結果,SWCNTが平行に配列していることが確認できた.また,平行に配列している箇所のほかに同心円状に配列している箇所や,網目状に配列している箇所も確認できた.一方で,超高分解走査電子顕微鏡を用いた形態観察からも走査プローブ顕微鏡と同様の形状のSWCNT配列パターンが観察された.
以上の結果から,SWCNTは基板上で自発的に集積し,あるパターンを発現することが明らかになった.また,SWCNT溶液や基板の条件に依ってSWCNTを異なるパターンで配列化させることが可能であると考えられる.
4.その他・特記事項(Others)
本研究の一部は文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業(分子・物質合成)の支援により九州大学で実施された.ご協力いただきました利光史行特任助教(九州大学大学院工学研究院)に感謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし