利用報告書
課題番号 :S-16-JI-0034
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :カーボンナノチューブ成長に使用する触媒担持層の構造評価
Program Title (English) :Characterizations of catalyst-support layers used in the growth of carbon nanotubes
利用者名(日本語) :渡辺 博道
Username (English) :H. Watanabe
所属名(日本語) :国立研究開発法人産業技術総合研究所
Affiliation (English) :物質計測標準研究部門 熱物性標準研究グループ
1.概要(Summary )
気相触媒CVD法によるカーボンナノチューブ(CNT)成膜法において、気相触媒に暴露する前に成膜する必要がある酸化物不連続膜からなる触媒担持層の構造は,CNT成膜の均一性を左右する重要な要素のひとつである。そこで、物体の最表面の元素の面分布を定量的に評価できる走査型オージェ電子分光装置を用いて、アルミナ粒子ブラスト処理により形成した触媒担持層最表面のアルミニウムの面分布すなわちアルミナ粒子残渣の面分布を定量的に評価することが可能かどうかを実際の測定により評価した。
2.実験(Experimental)
走査型オージェ電子分光顕微鏡アルバックファイ社製 SAM670Xiを用いて、ブラスト処理を行ったタングステン基板と比較用の試料として準備したアルミニウムを真空蒸着させたタングステン基板の2種類の試料に関して、最表面にある4種類の元素(Al, C, O, W)のマッピングを行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig. 1には、アルミナ粒子によるブラスト処理を30秒間行ったタングステン基板最表面の(a)SEM像と(b)アルミニウム面分布を示す。アルミニウム面分布では、左上と中央下の部分に信号が強く検出されている部分があるが、SEM像から確認できるブラスト処理によって生じた凸凹部分がアルミニウムが多く存在する領域に対応していることが確認できた。しかし、アルミニウムはほぼ一面に検出されており、これらの検出点が本当にアルミナ残渣粒子の存在を意味しているかどうかを確認するためには、無垢のタングステン面について同様のマッピングを行って、ノイズ除去を行う必要があることが判明した。また、アルミニウムを真空蒸着した基板のマッピング結果は場所によらず一様にアルミニウムの存在を検出しており、予想した通りの結果を得た。これらの結果から、今回使用した走査型オージェ電子分光顕微鏡は、本研究を遂行する上で十分な性能を有することを確認できた。また、アルミナ残渣の分布を定量的に把握するには、無垢のタングステン基板に関して、アルミニウムのノイズレベルを明らかにする必要があることが判った。
4.その他・特記事項(Others)
富取正彦教授から、本研究の遂行における測定及びに測定結果の解釈に関して、多大なるご協力とご支援を頂いた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







