利用報告書

カーボンナノ材料の電子デバイスへの応用
竹村 直人
タツタ電線株式会社

課題番号 :S-16-KU-0002
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :カーボンナノ材料の電子デバイスへの応用
Program Title (English) :Application for electronic devices using carbon nanomaterials
利用者名(日本語) :竹村 直人
Username (English) :Naoto Takemura
所属名(日本語) :タツタ電線株式会社
Affiliation (English) :Tatsuta Electric Wire & Cable Co., Ltd.

1.概要(Summary )
単層カーボンナノチューブは、電流容量や導電性の観点から、従来の金属系フィラーに替わる新たな電子材料として期待される。本検討では、単層カーボンナノチューブの結晶性を低下させることなく高純度化を達成する目的で、高純度化処理したサンプルの結晶性を評価した。本年度は高純化処理によりG/D比のばらつきが増加し結晶性が不均一化していることが示唆されたが、結晶性の不均一化を抑制するための条件を最適化するまでには至らなかった。

2.実験(Experimental)
<使用した機器>
・プローブ型顕微ラマン分光測定装置
・高速レーザーラマン顕微鏡

単層カーボンナノチューブ粉体を還元雰囲気中で焼成し、金属触媒を除去することを試みた。TG-DTAでは、高純度化処理前(Metal:8 wt%)⇒高純度化処理後(Metal:1~2 wt%)と炭素重量比の増加を確認した。次に、高純度化前後のサンプルをスライドガラスに乗せてラマン分光測定し(同じサンプルで計5箇所)、GバンドおよびDバンドの強度比を求めた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
高純度化処理前と高純度化処理後の単層カーボンナノチューブ粉体をそれぞれIgor pro 6のmulti peak fittingで1160cm-1~1700cm-1の波数領域でのフィッティングを行った。ガウシアン関数で外挿しピーク強度とピーク面積を求め、それぞれの平均値からG/D比を算出した。結果を図1、図2に示す。

図1.高純度化処理前後のG/D比(面積比)

図2.高純度化処理前後のG/D比(強度比)

結果として、強度比、面積比ともに高純度化処理前後での有意差は認められなかった。しかしながら処理後において誤差(ばらつき)が増加していることから、単層カーボンナノチューブ粉体の測定箇所によって結晶性にむらが生じていることが示唆される。以上のことから、顕著な差異は生じていないものの、結晶性がわずかに不均一化していると考えられる。

4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし。

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