利用報告書

ガスソースFIBによるダイヤモンドデバイス中へのNVセンター形成
岩崎孝之
東京工業大学工学院

課題番号 :S-17-JI-0033
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :ガスソースFIBによるダイヤモンドデバイス中へのNVセンター形成
Program Title (English) :Fabrication of NV centers in diamond devices using gas source FIB
利用者名(日本語) :岩崎孝之1)
Username (English) :T. Iwasaki1)
所属名(日本語) :1) 東京工業大学工学院
Affiliation (English) :1) School of Engineering, Tokyo Institute of Technology

1.概要(Summary )
ワイドギャップ半導体は、次世代の低損失パワーエレクトロニクスを構築する材料として期待されている。特に、ダイヤモンド半導体は高い絶縁破壊電界強度および熱伝導率を有することから高電圧・高温環境下でも動作するデバイスとして有望である。本研究は、ダイヤモンドデバイスの動作モニタリングを目指し、量子センサをダイヤモンドデバイス内に形成することを目的とする。量子センサとして窒素‐空孔(NV)センターを用いる。集束イオンビームにより、窒素をダイヤモンドに注入することでNVセンターの形成を実施した。

2.実験(Experimental)
利用装置:電界電離ガスイオン源搭載集束イオンビーム装置・GFIS-FIB

ダイヤモンドデバイスとして、単結晶ダイヤモンド基板上に作製したトランジスタ構造を用いた。所望のトランジスタにフォーカスすることで、必要な領域にのみ窒素イオンを注入した。窒素注入後、真空アニールを実施することで、ダイヤモンドデバイス中にNVセンターを形成した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 NVセンターを形成したダイヤモンドデバイスを共焦点顕微鏡により観察した。発光イメージング像から、所望のデバイス中にNVセンターが形成されていることを確認した。NVセンターは複数の電荷状態を有するが、センサとして機能するのは負電荷NVセンターである。本研究で使用したデバイスは中性状態が優勢となるp型であるが、その中にも負電荷状態NVが存在していることを観測した。光検出磁気共鳴計測において、スピン0から±1の状態への電子スピン共鳴を確認できたことから、量子センサをデバイス内に作製することに成功した。

4.その他・特記事項(Others)
NVセンター形成にあたり、貴重な議論およびイオン注入を行っていただいたMarek Schmidt博士に感謝申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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