利用報告書

グラフェン/SiC界面へのインターカレーションに関する研究
Anton Visikovskiy, 魚谷 亮介,今村 均, 田中 悟
九州大学大学院工学研究院エネルギー量子工学部門

課題番号 :S-19-KU-0052
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :グラフェン/SiC界面へのインターカレーションに関する研究
Program Title (English) :Intercalation into graphene/SiC interfaces
利用者名(日本語) :Anton Visikovskiy, 魚谷 亮介,今村 均, 田中 悟
Username (English) :A. Visikovskiy, R. Uotani, H. Imamura, S. Tanaka
所属名(日本語) :九州大学大学院工学研究院エネルギー量子工学部門
Affiliation (English) :Kyushu Univ.

1.概要(Summary)
グラフェン/SiC界面にインターカレートされた物質はSiCあるいはグラフェンと結合状態を有する可能性もあり,化学的同定が必要である.また,化合物インターカラントに関しては組成に関する評価も必要となる.このような目的に適した分析装置は, 薄膜表面において化学結合状態を分析できるX線光電子分光(XPS)をおいてほかにはない. 今回は, XPSを用いて, SiONインターカラントの化学状態の分析と同定を行った.

2.実験(Experimental)
装置: X線光電子分光
Shimazu社製AXIS-ULTRA

清浄なシリコン基板上にgraphene/SiN/SiCをそれぞれ成膜して, 数種類のサンプルを準備した. サンプルの固定および, 測定室への導入へは, 大面積サンプルバーを用いることで, 一度に複数のサンプルを装填し, 効率的に測定を進めることが出来た.各サンプルにおいて, 含有されると予想されるケイ素, 炭素, 窒素などの元素についてXPSによる分析を行った. ケイ素では, Si2p電子, 炭素ではC1s電子, 窒素ではN1s電子の状態を調べた.基準となる化学シフトを炭素炭素単結合に由来する284.8 eVとし, それぞれのサンプルがどの程度シフトするかを観測することで, 各サンプルにおけるgraphene/SiN/SiC界面での化学結合状態を評価し, SiONインターカラントの同定を行った. また, 測定部分の位置調整は手動で行ったが, 時間の制約により, 深さ方向をコントロールしたスキャンを行うことは出来なかった.

3.結果と考察(Results and Discussion)
XPS測定では, 分析部分の面積方向が, Shimadzu社製AXIS-ULTRAでは約300 µm X 700 µm四方の規定値となっているのに対して, 深さ方向は可変である. その反面, 深さに対する調整がテクニックを要するため, 希望する界面に焦点を合わせた測定が困難であった. 前述したように, 今回の利用では, 時間の制約により, 深さ方向へのスキャン測定まで行うことが出来ず, 測定結果がどの界面に由来するかを解析するまではかなわず, 特に有意義な結果は得られなかった.

4.その他・特記事項(Others)
なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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