利用報告書
課題番号 :S-20-NR-0032
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :ジクマロール超分子ファイバーの形成メカニズムの解明と機能性超分子ファイバ ーの開発
Program Title (English) :Research on mechanism of dicoumarol supramolecular fiber formation and development of functional supramolecular fibers
利用者名(日本語) :王 傲寒
Username (English) :Aohan Wang
所属名(日本語) :島根大学自然科学研究科環境システム科学専攻物質化学コース
Affiliation (English) :Department of Chemistry, Shimane University
1.概要(Summary )
超分子マイクロ/ナノファイバーは分子が非共有結合を介した自己集積体であり、バイオマテリアルや分子センサーなどへの応用が期待される。しかし、一般的にマイクロ/ナノファイバーが形成される段階において、ファイバー同士が三次元的に絡まり合い、一本のみ分離することは困難である。また、現在まで報告されたマイクロ/ナノファイバーは、長さが数センチメートルで限界となる。アスペクト比の長いマイクロ/ナノファイバーの作製と単離が課題である。
利用者はこれまで、ジクマロール誘導体からアスペクト比の高い超分子マイクロファイバーを単離することに成功した。しかし、ジクマロールマイクロファイバーの形成メカニズムについてまだ不明な点が多いため、分子レベルで解明することを試みた。本課題では、数種類のジクマロール誘導体の単結晶を作製し、単結晶X線構造解析装置を利用して、ジクマロール誘導体の分子結晶構造を明らかにすることを目的とした。
2.実験(Experimental)
置換基の異なるジクマロール誘導体を数種類あらかじめ合成し、有機溶媒中でそれぞれ単結晶を作製した。これらの単結晶は、奈良先端科学技術大学にて微小結晶X線構造解析装置を用いて分子結晶構造解析を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
微小結晶X線構造解析装置を用いて分子結晶構造解析を行った結果、それぞれのジクマロール誘導体の結晶構造を明らかにすることができた。測定結果より。水酸基を有するジクマロール誘導体が分子間、分子内水素結合を形成することが示唆された。この結果は、ジクマロールマイクロファイバーの形成メカニズムの解明に寄与できる。今後は、ジクマロール分子上の置換基の種類が分子結晶構造に与える影響を調べる予定である。
4.その他・特記事項(Others)
協力研究は奈良先端大の清水洋特任教授にご支援いただきました、技術的測定や相談は技術職員の片尾昇平氏に大変お世話になりました、ここに厚く御礼申し上げます。また、2020年度試行的利用の採択を受け実施した。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし