利用報告書

ジャイアントベシクルを2次元平面状に集積するためのマイクロ流体デバイスの 開発
今井正幸1), 千葉紀風1), 豊田太郎2), 杉山博紀2)
1) 東北大学大学院理学研究科2) 東京大学大学院総合文化研究科

課題番号 :S-19-MS-3005b
利用形態 :装置開発室装置利用
利用課題名(日本語) :ジャイアントベシクルを2次元平面状に集積するためのマイクロ流体デバイスの
開発
Program Title (English) : Development of Microfluidics Device for Planar Assembly of Giant Vesicles
利用者名(日本語) :今井正幸1), 千葉紀風1), 豊田太郎2), 杉山博紀2)
Username (English) :Masayuki Imai1), Toshikaze Chiba1),Taro Toyota2), Hironori Sugiyama2)
所属名(日本語) :1) 東北大学大学院理学研究科
2) 東京大学大学院総合文化研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Science, Tohoku University
2) Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo

1.概要(Summary)
 細胞のモデル系として研究されているジャイアントベシクル(GUV)を複数集合させて構築した2次元細胞組織様の構造体は、多細胞生物や表皮細胞組織の形態形成に対するモデル系として新しい展開が期待される研究対象である。我々は、作製時には多分散なGUV からサイズの揃ったGUVを選別して集積するマイクロ流路デバイスを作成し、この2次元細胞組織様の構造体の研究のスタンダードモデルを構築することを目的として本申請を行った。
2.実験(Experimental)
 マイクロ流路デバイスの設計は、決定論的横置換法を基盤として豊田研究室で開発したマイクロ流路デバイスを本研究の目的である2次元GUV集積構造体用に展開した。デバイスの製作では、マスクレス露光装置(ナノシステムソリューションズ  DL-1000/IMC)を用いて、フォトマスクを作成した後、プラズマ照射装置、スピンコーター(ミカサ社製MS-A100)、マスクアライナー(ミカサ社製MA-10)によりデバイスの鋳型となるシリコンウェハSU-8モールドを作成した。モールドの設計精度は、段差計(KLA Tencor P7)により評価した。モールドをPDMS(ポリジメチルシロキサン)中に沈めて十分に硬化させた後、モールドから剥がして、洗浄したガラスとともにプラズマを照射してこれらを接合した。デバイスの動作確認では、静置水和法で作成したベシクル懸濁液0.1mMをデバイスに流し、ベシクルの集積を評価した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
 図1(a)は製作したSU-8モールドの光学顕微鏡画像である。現像は概ね設計通りであったが、5μm以下の精度は、設計値から2〜3μm大きくなることが確認された。これはシリコンウェハの露光が屈折して、逆テーパー型に現像されてしまっていると考えられる。また、PDMSの硬化について、主剤と硬化剤の混合不足により、表面が粘着することも確認された。図1(b)はデバイスの補足構造にベシクルが集積されている蛍光顕微鏡画像である。ベシクルの集積効率は、12時間ほど懸濁液を流して、およそ10個であり、実用的には低い値であった。これは、補足構造周辺の流体抵抗が高いために迂回してしまう現象による。したがって、補足構造の配置を最適化することで迂回を防ぎ、集積効率が改善されると考えられる。

4.その他・特記事項(Others)
高田紀子技術職員(装置開発室)に、感謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。

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