利用報告書

スパッタリング法により成膜されたCu薄膜の膜質最適化
福田 一(FKDファクトリ)

課題番号 :S-20-OS-0037
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :スパッタリング法により成膜されたCu薄膜の膜質最適化
Program Title (English) :Optimizing the film quality of Cu thin films formed by the sputtering method
利用者名(日本語) :福田 一
Username (English) :H.Fukuda
所属名(日本語) :FKDファクトリ
Affiliation (English) :FKD Factory

1.概要(Summary )
大気暴露型のスパッタ装置を用いてCu成膜を実施する場合、残留酸素の影響により基板面内で部分的に曇りや黒ずみが発生する。これは膜厚の基板面内分布も関係していると考えられる。
この問題を解決するためにスパッタ条件を最適化する必要があり、複数のパラメータから最適な条件を導き出すために今回の実験を実施した。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
 S10 RFスパッタ装置
 S17 接触式膜厚測定器

【実験方法】
 成膜レートに影響を及ぼすと考えられるパラメータを複数種抽出し、中心条件から上下に条件振りを行い、成膜テストを実施した。その後、膜厚測定を行い、各パラメータの依存性データを取得した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 各パラメータを振ったときの成膜レートデータをFig.1に示す。RFに対しては想定通りの挙動を示した。20W~100WではRF Powerの上昇に伴い、成膜レートも比較的リニアに上昇している様子が見られた。Ar流量に対しては10sccmの時に成膜レートがピークを迎えている。合理的なスパッタ圧との関係性から、今回の範囲を超えて流量を振る必要はないと考える。T-S間距離を変えた際も想定通りの挙動を示している。T-S間が100mmを超えると成膜レートは一桁nm/minと、実用的とは言えなくなる。またプラズマダメージを余裕を持って回避することを考えると40~60mmあたりが最適と考えられる。Arガス圧力は0.1, 0.2, 1, 1.5Paの4条件でスパッタを実施しているが、1Paの時に原因不明のクラックが発生し、膜厚測定ができなかった。今回のデータから最適圧力は推測できないが、得られたデータから一点抽出するなら0.2Paとなる。

 今回の実験結果より、RF Power:50~80W、Ar流量:10sccm、T-S間距離:40~60mm、Arガス圧力:0.2Paが成膜レート、装置仕様などから考えて最適なスパッタ条件と考えられる。この条件を用いて、次回は膜厚依存性、基板種依存性、添加ガス依存性等のトレンドを観察する方針である。

4.その他・特記事項(Others)
・本件は合成PFの試行的利用として採択されました。
・技術代行としてご対応頂きました合成PFスタッフの
方に感謝申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
 なし

6.関連特許(Patent)
 なし

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