利用報告書

ゾレドロン酸とフルバスタチンの併用によるヒト膵臓がん細胞増殖抑制の増強効果
松林 健太, 徳永 あゆみ
九州大学薬学部臨床薬学科臨床育薬学分野

課題番号 :S-16-KU-0008
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :ゾレドロン酸とフルバスタチンの併用によるヒト膵臓がん細胞増殖抑制の増強効果
Program Title (English) :Synergistic antitumor effects of Zoledronic acid and Fluvastatin in human pancreatic cancer cell lines.
利用者名(日本語) :松林 健太, 徳永 あゆみ
Username (English) :Kenta Matsubayashi, Ayumi Tokunaga
所属名(日本語) :九州大学薬学部臨床薬学科臨床育薬学分野
Affiliation (English) :Department of Clinical Pharmacy and Pharmaceutical Care, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyushu University

1.概要(Summary )
ゾレドロン酸またはリポソーム封入したゾレドロン酸とフルバスタチンのヒト膵臓がん細胞に対する殺細胞効果、抗腫瘍効果、転移抑制効果についてin vitro 及びin vivoで調べ、また併用での各効果の増強について確認する。

2.実験(Experimental)
【使用機器】
ゼータサイザーゼータ電位・粒子径・分子量測定装置 マルバーン社製/Nano-Zs
【実験内容】
作製したリポソーム封入ゾレドロン酸(Lipo-ZOL)および薬剤未封入の空のリポソーム(Empty-Lipo)の粒子径およびゼータ電位の測定。

3.結果と考察(Results and Discussion)
粒子径は Lipo-ZOL、Empty-Lipo ともに100nm-200nmの値を示した。ゼータ電位は30mV 程度の値を示し、作製したリポソームはカチオン性であることが分かった。
カチオン性のリポソームであるということは、つまり粒子表面が正に帯電しているということである。そのため、膜表面が負に帯電している細胞と相互作用し、細胞への取り込みが増大すると考えられる。そのため、 in vitro の実験において、ゾレドロン酸と比較してリポソーム封入ゾレドロン酸は細胞障害性が向上すると考えられる。
また、 in vivo においても、EPR効果による抗腫瘍効果増大が期待できる。
4.その他・特記事項(Others)
 EPR効果
(Enhanced Permeation and Retention effect)
腫瘍組織の周辺の新生血管は、通常の血管に比べ構造が不完全であり、隙間(200-300nm以下)の空いた構造をしている。そのため、通常の血管は透過しない高分子化合物が透過し、腫瘍組織に到達する。さらに、腫瘍組織ではリンパ系が未発達であるため、到達した物質が蓄積する。このような特性をEPR効果と呼ぶ。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

©2025 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.