利用報告書
課題番号 :S-16-KU-0017
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :ナノカーボンの新規化学修飾法の開拓
Program Title (English) :Development of new chemical modification method for graphitic materials
利用者名(日本語) :忍久保 洋
Username (English) :H. Shinokubo
所属名(日本語) :名古屋大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :Nagoya University
1.概要(Summary )
酸化グラフェンに対してフッ素含有分子を共有結合で修飾する手法を開発してきた。そこで本手法が酸化カーボンナノチューブ(CNT)にも適用できるかについて検討する。酸化CNTにも適用可能ならば、CNTのフッ素修飾にも繋がり非常に有用である。
2.実験(Experimental)
ナノテクプラットフォーム合成支援で作成した酸化CNTに対し、フッ素含有化合物の反応を行った。反応後、カラムクロマトグラフィーで精製した。得られた試料を電子状態測定システム(島津製作所社製 AXIS-ULTRA)を用いてフッ素の同定を行い、走査型プローブ顕微鏡(島津製作所社製 SPM-9600)を用い、形状の測定を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1.試料の写真と分散液
得られた試料を2-プロパノールに分散したところ、均一な溶液を得た(図1)。この溶液をマイカにキャストし走査型プローブ顕微鏡観察を行った。その結果、期待された棒状の物体は観察されず、粒子状の像が得られた(図2)。反応前の酸化CNTは棒状であることを確認していることから、反応中に短尺化されたか、または精製によって短尺のフラクションのみを回収した可能性が考えられる。
図2.フッ素化CNTの走査プローブ顕微鏡像
図3.フッ素化CNTのXPSサーベイ(左)とF1s(右)
XPS測定の結果、F1sピークが観察されず、合成した試料にはフッ素が含有されていないことが示唆された。酸化CNTの調整条件やフッ素化CNTの精製条件を見直すことで解決を目指す。
4.その他・特記事項(Others)
酸化CNTの合成およびXPS、AFM観察はナノテクプラットフォーム合成支援によって行った。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。