利用報告書

ナノサイズの塩基性有機ケイ素デンドリマー触媒の合成
釘田 強志, 新見 翔太
帝京科学大学

課題番号 :S-15-NM-0070
利用形態 :機器使用
利用課題名(日本語) :ナノサイズの塩基性有機ケイ素デンドリマー触媒の合成
Program Title (English) :Synthesis of Nano Size Organosilane Dendrimer Catalyst with amino group
利用者名(日本語) :釘田 強志, 新見 翔太
Username (English) :T. Kugita, S. Niimi
所属名(日本語) :帝京科学大学
Affiliation (English) :Teikyo University of Science & Technology

1.概要(Summary )
数ナノメートルの直径を有する球形のデンドリマーの末端に各種アミノ基を付与することにより,有機溶媒に可溶でありろ過分離が可能な均一系触媒の合成を試みた。生成物の同定にはNMRを用いた。
得られた1H NMRスペクトルでは,0.5 ppmと6 ppm付近にそれぞれ内部メチレンならびにビニル基由来のシグナルが観測され,第一世代有機ケイ素デンドリマーの合成に成功したことが分かった。

2.実験(Experimental)
デンドリマーの合成は,テトラビニルシランを出発試薬とし,これに4倍モルのトリクロロシランを付加させ,さらにビニルマグネシウムブロミドとの反応で,末端に12個のビニル基の導入を行った。このビニル基に同様な反応を繰り返し,第2世代の合成も試みた。
合成したデンドリマーへのアミノ基の導入は,まずデンドリマー末端へのジメチルクロロシランの付加,ならびに引き続く水素化アルミニウムリチウムとの反応で, Si-H基を導入し,さらにこれらにアリルアミンを付加させる方法で試みた。
合成した各種デンドリマーの定性または純度の確認,ならびにその末端に付与したSi-H基やアミノ基の確認は,NMRスペクトルより行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
テトラビニルシラン,1.5 g,11.03 mmolをTHFに溶解し,トリクロロシラン,9.8 g,72.60 mmolを加え塩化白金酸溶液数滴を加え反応を開始した。反応は室温で30分攪拌したのちオイルバスで60℃,10時間加熱した。反応終了後エバポレータで揮発成分を除去し、白い液体の1G-Clを得た。
合成した1G-Cl,2.0 g, 3.00mmolをTHFに溶解して、ビニルマグネシウムクロライドのTHF溶液(53.49 mmol)を加えた。その後75℃で24時間加熱還流を行った後,飽和塩化アンモニウム溶液で加水分解し,エーテル抽出した。次に展開剤として2.5% 酢酸エチルのヘキサン溶液を用いカラム分離を行い,白い粘性の高い液体を得た。
得られた試料の1H NMRスペクトルでは,デンドリマーの内部エチレン水素が,0.48-0.57ppmに,ビニル基の内部水素および末端水素がそれぞれ,5.73-5.78ppm, および6.06-6.17ppmに,13C NMRスペクトルでは,メチレン炭素が,12.54ppmと24.79ppmに,ビニル基炭素がそれぞれ134.48ppmと134.60ppmに確認できた。さらに,29Si NMRスペクトルでは,コアならびに末端ケイ素がそれぞれ,-18.44ppmと10.40ppm)に観測され, 1G-Viが生成を確認できた。
しかし,残念ながら引き続くジクロロシランとの反応では目的とする化合物の合成は確認できなかった。

4.その他・特記事項(Others)
なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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