利用報告書

ナノサイズ有機ケイ素デンドリマー触媒の合成
釘田 強志
帝京科学大学生命環境学部

課題番号 : S-16-NM-0043
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :ナノサイズ有機ケイ素デンドリマー触媒の合成
Program Title (English) :Synthesis of nano-sized organosilane Dendrimer
利用者名(日本語) :釘田 強志
Username (English) :Tsuyoshi Kugita
所属名(日本語) 帝京科学大学生命環境学部
Affiliation (English) :Department of Natural & Environmental Science, Teikyo Univ. of Sci. & Tech.

1.概要(Summary)
デンドリマーは骨格が樹木状に伸びた,球形の構造を有しており,同じ合成プロセスを繰り返し,世代を重ねることによって,その球径を増加させることができる。よって,ある程度以上の大きさを有するデンドリマーは,限界ろ過等で分離することが可能である。もし,有機溶媒に可溶な骨格を有するデンドリマーの末端に,触媒活性点を導入することができれば,均一系触媒であり,かつ分離が容易な触媒の合成が可能である。
本研究では,種々の溶媒に可溶な有機ケイ素デンドリマーを合成し,その末端に塩基性基を導入することで,触媒活性を発現させることを試みた。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
・核磁気共鳴装置 (NMR)

【実験方法】
有機ケイ素デンドリマー第一世代,1GViは,テトラビニルシランとトリクロロシランとの反応ならびに,引き続くビニルマグネシウムクロリドとの反応を用い,既報1)に従い合成した。さらにジメチルクロロシランとのヒドロシリル化反応,ならびに水素化リチウムアルミニウム処理により,Si-H基12個を有するデンドリマー,1GSi-H,を合成した。塩基性基はアリルアミンとのヒドロシリル化反応で行い,末端に-NH2基を導入し1G-NH2とした。
さらに, 1GViとトリクロロシランならびにビニルマグネシウムクロリドとの反応を用い,有機ケイ素デンドリマー第2世代2GViを合成し,ジメチルクロロシランならびに水素化リチウムアルミニウムで処理し,Si-H基36個を有するデンドリマー,2GSi-H,を合成した。これとアリルアミンとの反応も試みた。
生成物の確認には,各種NMRおよびIRを用いた。
Fig. 塩基性有機ケイ素デンドリマーの合成スキーム

3.結果と考察 (Results and Discussion)
合成した各試料の1HNMRスペクトルに,0.3~0.6 ppmおよび5.7~6.2 ppmに,それぞれ内部メチレン基およびビニル基に帰属されるピークが観測され,デンドリマー1GViならびに2GViの合成を確認した。
同様に,1G-SiH,2G-SiH,および1G-NH2, 2G-NH2にも,それぞれSi-H基ならびに-NH2基に特徴的なピークが観測され,合成に成功したことが解った。

4.参考文献
1) D. Seyferth and et al, Synthesis of an Organosilicon Dendrimer Containing 324 Si-H Bonds, Organometallic, 13, 2682 (1994).
2) NIMSのNMR装置を使用させていただいたが,測定方法について,ご指導をいただいた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし

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