利用報告書

ナノ多孔性セラミック分離膜ナノ構造の研究
三品建吾、岡本茂、戸所義博、澤村健一
イーセップ株式会社

課題番号 :S-20-NR-0014
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :ナノ多孔性セラミック分離膜ナノ構造の研究
Program Title (English) :Research on nano-structure of Nano-porous ceramic separation membranes
利用者名(日本語) :三品建吾、岡本茂、戸所義博、澤村健一
Username (English) :K. Mishina, S. Okamoto, Y. Todokoro, K. Sawamura
所属名(日本語) :イーセップ株式会社
Affiliation (English) :eSep Inc.

1.概要(Summary )
膜分離技術は環境・エネルギー分野で大幅な省エネ化や経済的創エネ(CO2の大幅削減)が可能な要素技術として期待されている。一方で現行のポリマー素材の分離膜では耐久性に乏しく、各種化学プロセスへの適用は非常に限定されている。この問題を解決するために、当社では、各種化学プロセスで求められる高耐久性を有するセラミック製のナノ多孔性分離膜の事業化開発を進めている。当該技術の普及にはナノ多孔性分離膜の量産化体制の構築が必須であり、当該分離膜の主要な製造工程の一部(全3工程中の1工程)について、世界で初めて全自動型連続生産を実現した(1,2)。残りの製造工程についても全自動型連続生産化を進め、当該ナノ多孔性分離膜製造の全工程全自動型連続製造ラインの試作に成功した。
セラミック分離膜の性能、作製法は分離膜ナノ構造と密接な関係がある。奈良先端科学技術大学院大学ナノテクノロジープラットフォーム(NAIST NPT)を利用して、作製原材料と作製分離膜のナノ構造解析を行なった。

2.実験(Experimental)
分離膜はゾル・ゲル法により作製しており、作製原材料であるゾル材料の調整と塗布による薄膜形成は、分離膜形成の鍵となる工程である。ゾル材料について、NAIST NPTの透過電子顕微鏡(JEOL-JEM-3100FEF)を用いてTEM観察を実施した。さらにフーリエ変換することにより、ゾル材料の詳細な状態を把握した。完成した分離膜ナノ構造について、超分解能電解放出型走査電子顕微鏡(Hitachi-SU-9000)を用いて、中間層、シリカ系最表面層の被覆状況を評価した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 図1に示すような、第1工程(アルミナ中間層形成)、第2工程(シリカ系中間層形成)、第3工程(シリカ系最表面層形成)の全工程全自動型連続製造ラインの試作に成功した。TEM、FESEMはナノ多孔性分離膜ナノ構造の解明に非常に有効な手段であることを確認した。

図1 試作した全工程全自動型連続製造ライン例

4.その他・特記事項(Others)
謝辞:NAIST NPT藤原技術職員および関係者には大変お世話になりましたことをお礼申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)澤村健一「シリカ系分離膜の量産化技術開発」
膜(MEMBRANE), 44(4), 158-162(2019).
(2) K.Sawamura, S.Okamoto, Y.Todokoro,”Development of Mass Production Technology of Highly Permeable Nano-Porous Supports for Silica-Based Separation Membranes,” Membranes, 103, 9(8), 2019.
6.関連特許(Patent)
なし

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