利用報告書

ナノ材料のイメージング
飯島 明広
株式会社常光

課題番号 :S-17-CT-0012
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :ナノ材料のイメージング
Program Title (English) :Imaging of nanomaterials
利用者名(日本語) :飯島 明広 1)
Username (English) :A.Iijima1)
所属名(日本語) :1) 株式会社常光
Affiliation (English) :1) Jokoh, Co., Ltd.

1.概要(Summary)
弊社ではスラリー状の試料を微粒化する湿式ジェットミル装置を開発している。この装置では高圧力下において粒子同士を衝突させることにより、ナノレベルにまで粒子の分散や乳化、解砕を行うことができ、医薬品や食品等、幅広い分野にて用いられている。この様な技術を判りやすく説明するためSEM等の電子顕微鏡を用いて処理前後での粒子を可視化、比較し、処理事例として提案している。最近ではカーボンナノチューブに代表される「ナノ材料」について、ナノメートルオーダーでの観察を行い、ジェットミルにて処理を施す前後を更に明確にすることを目標としているが、そのためには より高性能な装置での観察が求められる。そこで本研究では「ナノレベルでの分散」に焦点を当て、セルロースナノファイバー、カーボンナノチューブの2種類の試料の処理前、及び処理後のFE-SEM、TEM、蛍光顕微鏡による高分解能像の取得を試みた。

2.実験(Experimental)
セルロースナノファイバー、カーボンナノチューブの2種類の試料において、それぞれジェットミルによる処理前と処理後の顕微鏡観察を行った。以下、使用した装置名を列挙する。

・電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製 FE-SEM JSM-7800F)
・透過型電子顕微鏡(日立社製 TEM H-7600)
・蛍光顕微鏡(オリンパス社製 BX51)

FE-SEM観察に対する試料調製として、試料をマイカ上に数滴滴下し乾燥、その後 導電性処理として白金のスパッタを施した。また TEM、蛍光顕微鏡については、それぞれカーボングリッド上、及びガラス基板上に試料を滴下し乾燥後、観察を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
FE-SEM、TEM、蛍光顕微鏡のどの装置においても、ナノレベルの分散に成功していることが裏づけされた。特にFE-SEMの観察においては、装置による処理を行う前には500μm程もあった塊状のカーボンナノチューブが、処理後にはナノメートルオーダーの筒状となり、解けている様子を確認することができた(図1)。同様に、セルロースナノファイバーにおいても、処理前では確認することができなかった、ナノレベルで繊維状に解けている様子を確認することができた。

4.その他・特記事項(Others)
本研究の遂行にあたりまして、観察や試料の調製方法等 全ての面において指導と協力をいただいた千歳科学技術大学 オラフ カートハウス先生、河野 敬一先生、山﨑郁乃 技術員に感謝の意を表します。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし

©2025 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.