利用報告書

ナノ材料/高分子複合材の実用化開発
新原健一(株式会社富山環境整備)

課題番号 :S-20-SH-0006
利用形態 :共同研究型支援
利用課題名(日本語) :ナノ材料/高分子複合材の実用化開発
Program Title (English) :Development of polymer nano-composites
利用者名(日本語) :新原健一1)
Username (English) :K. Niihara1)
所属名(日本語) :1) 株式会社富山環境整備
Affiliation (English) :1) Toyama Kankyouseibi, Co., Ltd.

1.概要(Summary )
セルロースナノファイバー(CNF)またはカーボンナノチューブ(CNT)による廃棄プラスチックの高機能化、高性能化を目指し、複合化技術開発と材料特性の評価を行った。バージンプラスチックでの複合材料を作製し、特性評価、構造観察を実施した。得られた複合体中でのCNFの解繊状態、分散状態を評価するために当該プラットフォーム共通利用分析装置を使用した。
2.実験(Experimental)
マルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)とポリプロピレン(PP)および衝撃特性改善のためにエラストマーを複合化した材料を製造した。得られた複合体の凍結割断面を走査型電子顕微鏡(SEM:SU8000)にて観察し、熱可塑性樹脂中でのCNTの解繊状態、分散状態を評価した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
 複合材料の引張試験結果より、MWCNTを複合化しない材料(コントロール材料)よりも、MWCNTを複合化した材料の破断伸びが大きくなるという特徴的な現象を確認した。この現象はマトリックス中でのMWCNTの解繊・分散状態およびエラストマー成分の相構造に起因していると予想されるため、材料中のMWCNTの解繊・分散状態を観察した。MWCNTを15phr複合化した材料の凍結割断面をFig.1(a)に示す。MWCNTの解繊状態は良好と判断されるが、マトリックス中でMWCNTの濃度分布が存在していることが明らかとなった。次に、有機溶剤にて割断面表面のエラストマー成分を抽出した材料の割断面観察を行った(Fig.1(b)参照)。観察結果より、エラストマー成分が抽出されたことにより形成された空隙部にMWCNTが偏在していることが明らかとなった。MWCNTは極性の小さいPP成分よりも極性のあるエラストマー成分偏在し、それが連続相を形成することにより、高靭性化を示したと考えられる。

Fig.1 SEM image of CNT/ PP composites.

4.その他・特記事項(Others)
謝辞:本研究は農研機構生研支援センター「「知」の集積と活用の場による革新的技術創造促進事業(異分野融合発展研究)」および経済産業省「基盤技術高度化支援事業」の支援を受けて行った。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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