利用報告書
課題番号 :S-17-OS-0040
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :ナノ粒子(金コロイド等)の粒子径およびゼータ電位の測定
Program Title (English) :Measurement of particle size and zeta potential of nanoparticles
利用者名(日本語) :米村 勝
Username (English) :Masaru Yonemura
所属名(日本語) :株式会社Office NC
Affiliation (English) :Office-NC corporation
キーワード/Keyword : ナノ粒子解析装置、ゼータ電位、
1.概要(Summary )
ナノ粒子表面荷電(ゼータ電位)を測定することで、抗体が粒子に結合する際の反応性の情報を得る。また抗体結合前後の粒子径を測定することによって、粒子単独の均一性を判定し、また抗体を結合させた後の粒子径の変化を調べることによって、適正に抗体が結合されているかどうかを判定することができると思われる。今回はCRP検出系を作製し、粒子径測定およびゼータ電位が有用か否か検証する。
2.実験(Experimental)
(1) 利用した主な装置の名称
S07 ナノ粒子解析装置(シスメックス社“NANO-ZS”)
(2) 実験方法
a) 金コロイド(ワインレッドケミカル社製、20nm、以下GC)を精製水あるいは5mM HEPES buffer7.2で分散させ、粒子径ならびにゼータ電位を測定した。
b) GCを300µL 5mM HEPES buffer pH7.2に分散させ、抗CRP抗体(日本バイオテスト社製 ウサギIgG、以下NBIgG)を加え、37℃で30min静置することにより、抗体結合粒子を作製した。
遠心分離(10,000rpm×30min)し、この沈殿画分に分散液600µL(5mM HEPES buffer pH7.2 + 0.0125% Tween20)を入れて超音波分散し、抗体結合粒子液(以下GC-Ab)とした。これらの粒子径ならびにゼータ電位を測定した。
c) 上記b)で作製したGC-Ab液をさら遠心分離(13,000rpm×5min)し、その際の上澄画分(GC-Ab-sup.)と沈殿画分(GC-Ab-ppt.)の粒子径およびゼータ電位の測定を実施した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
下表&図の粒子径・ゼータ電位の測定結果を得た。
Fig.1 Particle Size Distribution
Fig.2 Zeta potential
Volume(体積分布)のPeek値を調べると、GCでは18.06nm(98.6%)+591.3nm(1.4%)であるのに対して、GC-Abでは46.76nm(36.1%)+238.2nm(18.8%)+499.5nm(45.1%)となり、さらにGC-Ab-sup.では47.57nm(59.5%)+300.4nm(24.6%)+551.5nm(15.9%)となっていた。この結果、抗体結合により粒子径が約2倍となること、また抗体結合処理により多様な粒子径のGCが形成されていることが分かった。抗体分子が粒子に結合した時の“層”としての大きさをGCの結果から換算すると、粒子径(20nm)+抗体分子層(10+10nm)=40nmと計算され、これは今回の試験結果と一致する。
ゼータ電位の測定ではGC:-43.3、GC-Ab:-40.5、GC-Ab-sup.:-43.3mVであった。
4.その他・特記事項(Others)
特段の記載事項はなし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。