利用報告書

ハーブ・スパイス成分の生合成に関する研究
喜多 智子
ハウス食品グループ本社(株)

課題番号 :S-16-NM-0012
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :ハーブ・スパイス成分の生合成に関する研究
Program Title (English) :Research for constituent of herbs and spices
利用者名(日本語) :喜多 智子
Username (English) :Tomoko Kita
所属名(日本語) :ハウス食品グループ本社(株)
Affiliation (English) :House Foods Group Inc.

1.概要(Summary)
ハーブ、スパイスの成分(二次代謝産物)の生合成についての研究を行なうため、レーザーマイクロダイセクション装置で、二次代謝産物を蓄積している細胞を切り出した。切り出した細胞の内容成分を溶媒で抽出し、質量分析装置で分析したところ、比較的近傍にある細胞であっても、二次代謝産物の蓄積量に大きなばらつきがありそうなことがわかった。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
レーザーマイクロダイセクション装置

【実験方法】
レーザーマイクロダイセクション装置(ライカマイクロシステムズ:LMD7000)で、ハーブ・スパイスの切片から二次代謝産物を蓄積する細胞を切出した。切り出した細胞から内容成分を溶媒で抽出し、質量分析装置で成分分析した。

3.結果と考察 (Results and Discussion)
ハーブ、スパイスの、二次代謝産物を蓄積している細胞・器官を確実に受容器に落とすために、レーザー強度、幅、スピードなどをさまざまに試したが、サンプルごとに最適条件が異なるらしく、確実な条件は見つからなかった。そのため、細胞の内容物がレーザーで弾け飛んでしまったり、レーザーの軌跡の最後の部分が切れ残ってしまい、受容器に落ちない時があった。
また、静電気の影響で、切り取った断片が受容器に落ちず、少し離れた場所のフィルムの裏に貼付く例も見られた。そのため、おのおのの断片を切り出すたびに受容器を確認し、切出した断片があることを確認しつつ、作業を進めた。
二次代謝産物を蓄積している細胞をいくつか切り出し、それぞれを溶媒で抽出して質量分析装置で分析したところ、比較的近傍にある細胞であっても、蓄積している二次代謝産物の量に大きなばらつきがありそうなことがわかった。また、該当産物の生成中間体と思われる物質のフラグメントも検出できた。
ただ、切り出した細胞の量が少なすぎて、最終産物以外は、質量分析装置の検出限界に近い強度しか得られなかったため、今後は、切り出し細胞の量を増やし、確実にフラグメントを検出できるようにしたい。

Fig. Contents of metabolic end product

4.その他・特記事項(Others)

2005年度より、NIMS分子・物質合成プラットフォームを利用させていただいており、これまでに、レーザーマイクロダイセクション装置、ペプチド解析用LC-MS/MS (Q-Exactive)装置の使用トレーニングを受けている。本年度はレーザーマイクロダイセクション装置を利用した。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし

6.関連特許(Patent)

なし

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