利用報告書
課題番号 :S-16-CT-0031
利用形態 :技術補助
利用課題名(日本語) :バクテリアセルロースを用いたタンパク質吸着材の開発
Program Title (English) :Development of protein adsorbent using bacterial cellulose
利用者名(日本語) :松野朗,沼田ゆかり
Username (English) :A. Matsuno, Y. Numata
所属名(日本語) :小樽商科大学商学部
Affiliation (English) :Fucaluty of Commerce, Otaru University of Commerce
1.概要(Summary)
バクテリアセルロースゲルは微細なセルロース繊維が三次元網目構造を形成し、水を保持している。我々はバクテリアセルロース(BC)ゲルとポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)の複合体をタンパク質吸着材として応用する可能性を検討した。得られた複合体はゲル状態と凍結乾燥後でタンパク質吸着能に差がみられた。そこで本利用課題では、ゲル状態と凍結乾燥後の形態変化を調べるため、電界放出形走査型電子顕微鏡を用いてナノスーツ法1)によってゲル状態の形態を、スパッタリングすることで凍結乾燥後の形態を観察した。
2.実験(Experimental)
PEGDAを30%、40%および50%になるようBCゲル中に導入後、紫外線照射によってPEGDAを重合、複合体ゲルを小樽商科大学にて調製した。ゲル観察は千歳科学技術大学分子・物質合成プラットフォームの電界放出形走査型電子顕微鏡(FE-SEM) JSM-7800F (日本電子(株))を用い、ナノスーツ法1)により行った。また、この複合体を凍結乾燥したサンプルをオートファインコーター JEC-3000FC (日本電子(株))を用い、白金を膜厚12 nmでスパッタリングし上記FE-SEMで観察した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig. 1にゲルおよび凍結乾燥後のBC-30% PEGDAの表面を示す。複合体化によってセルロース繊維の三次元網目構造間にPEGDA重合体が入り込み、繊維が完全に覆われている。ゲルの状態と比べて凍結乾燥したサンプルでは表面の凹凸が少なく、滑らかになっていることが明らかになった。これは、凍結乾燥により表面のPEGDA重合体が潰れたためだと考えられる。PEGDA量が多いサンプルでも同様の傾向がみられた。また、通常のBCもゲル状態と凍結乾燥後では繊維状態の違いが確認されるが、複合体ではより形態の違いが大きいことが明らかになった。
Fig. 1 ゲル(左)および凍結乾燥後(右)のBC-30% PEGDAのFE-SEM写真
4.その他・特記事項(Others)
・参考文献
1) Y. Takaku, H. Suzuki, I. Ohta, D. Ishii, Y. Marunaka, M. Shimomura, T. Hariyama, PNAS, 110, (2013) p.p.7631-7635.
・謝辞
本研究の遂行にあたりまして、測定・技術指導でご協力いただいた千歳科学技術大学の平井悠司先生に感謝の意を表します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







