利用報告書

バナジウム含有ハロゲン化酵素の反応機構解明を目的としたモデル錯体合成とその反応
梶田裕二1), 2)
1) 愛知工業大学, 2) 名古屋工業大学

課題番号 :S-16-NI-11
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :バナジウム含有ハロゲン化酵素の反応機構解明を目的としたモデル錯体合成と
その反応
Program Title (English) :Synthesis of a model complex aimed to solve the reaction mechanism of
Vanadium –containing halogenation enzyme
利用者名(日本語) :梶田裕二1), 2),
Username (English) :Y. Kajita1), 2)
所属名(日本語) :1) 愛知工業大学, 2) 名古屋工業大学
Affiliation (English) :1) Aichi Institute of Technology, 2)Nagoya Institute of Technology

1.概要(Summary )
バナジウム含有ハロゲン化酵素の反応機構解明を目指して、活性中心を模倣したモデル錯体を構築し、その物性を評価した。その一環として構造情報を知るために単結晶X線構造解析を行った結果、THFとCl-が結合した三方両錘構造であることがわかった。
2.実験(Experimental)
単結晶X線構造解析を用いて、目的化合物の構造を得る。適当な大きさの単結晶(〜0.1mm角)をマウントし、X線を照射した。その反射情報を解析することで、構造を得た。
3.結果と考察(Results and Discussion)
今回、新たにV(III)イオンを有する単核錯体(1)の合成を行い、その構造を決定した。錯体1(図1)は、溶媒由来のTHFとメタルソース由来のCl-が配位した三方両錘構造であった。次に、錯体1と酸素分子との反応を-30˚CでUV-visスペクトルを用いて追跡した。その結果、酸素と反応後、スペクトルa (黒)からスペクトルb (赤)へ速やかに変化し、570, 430および350 nm付近に吸収帯の増大を確認した。これは数分でスペクトルc (青)へと変化した。これまでの報告から、570および430 nm付近の吸収帯はそれぞれO22-からV(V)イオン、O2-からV(V)へのCTであることが分かっている。したがって、THFがO2と置換配位してパーオキソ錯体が形成し、その後分解してオキソ錯体が形成することが分かった。軸位へのO22-の配位はVHPOにおいて提唱されている反応機構を再現しており、重要な結果である。
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 荒川大輝,梶田裕二 日本化学会第96春季年会, 平成28年3月26日.
(2) 荒河大輝, 梶田裕二 錯体化学会第66回討論会, 平成28年9月11日.
6.関連特許(Patent)
なし

©2025 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.